おみくじ エッセイ連載

【社長のための金融機関との対話力】融資された後のつきあい方

小林 昭康 ( 中小企業診断士 )

こんにちは、中小企業診断士の小林です。今回で5回目、エッセイも残り2回となりました。これまでのエッセイを通じて金融機関がどのようなことを考え経営者と向き合い、融資をしようとしているかイメージできたのではないかと思います。

経営者としっかりコミュニケーションし、実に多くの情報を集めることで、融資するかどうか判断がされているとお話ししましたが、融資した後にきちんと返済してもらえるようリスクを予測しているものの、確証があるわけではありません。

これまで、多くの経営者の皆さんは、いかに経営努力をしたとしても、その時々の政治経済の厳しい変化に大きく影響され、思うように業績があげられなかったということを経験されてきたはずです。

現在も、国内経済は、政府の経済対策により緩やかに景気回復していますが、個人消費が伸び悩み再びデフレが懸念されるほか、アメリカではトランプ政権が誕生し、先行きの景況感は非常に不透明な状況にあります。

こうした中で金融機関は、融資する時に判断した企業の経営状況、業績が変化していないかどうか、つまり返済能力が下がっていないかということに一番注目しています。

融資の前に、企業の様々な情報を分析し、ランク付けしていると以前お話ししましたが、融資の後にも1年に2回程度、決算や事業の成長性など、企業の経営状況を査定し、ランク付けしています。

ランク付けされた後、最終的に「正常先」、「要注意先」、「要管理先」、「破たん懸念先」、「実質破たん先」、「破たん先」という債務者区分に分けられます。
「正常先」は何ら問題のない状態のことです。「要注意先」、「要管理先」、「破たん懸念先」は金利や返済月額、返済期間等の返済条件が変更されている状態で、その程度に応じていずれかに分けられます。目安として3か月以上返済していない場合は、「要管理先」または「破たん懸念先」となります。「実質破たん先」、「破たん先」は文字通り実質的に破綻している状態です。

債務者区分は金融機関の内部情報になりますので、自分の会社がいずれの区分に位置しているかということについて、基本的には教えてもらうことはできませんが、自社の返済状況を見れば、なんとなく予想ができると思います。
債務者区分のうち、「要管理先」くらいから新たに融資を受けることが難しくなってきますし、状況によっては融資の回収に向かう可能性も出てきます。返済条件を変更している場合、資金繰りが楽になっていると安心するのではなく、将来の資金調達や経営を安定させることを考え、なるべく早く条件を正常化できるように経営努力をしましょう。

このように債務者区分が下がるほど、企業にとってはデメリットが大きくなってきますが、金融機関にとっても同じことが言えます。

企業は、売掛金や受取手形が回収できない可能性がある場合、前もって「貸倒引当金」という費用を計上しておき、回収できない売上の一部を自社で補てんする準備をします。金融機関も融資したお金を返済してもらえない可能性がある場合、「引当金」を計上しますが、債務者区分が下がるほど「引当金」の額が多くなります。そうなれば、費用計上が多額になり、金融機関の業績も悪化することになりますので、金融機関としては少しでも区分を引き上げたいという思いがあります。

ですから、自社の債務者区分が予想できる時、また分かってしまった時、たとえ悪い区分でも心配する必要はありません。金融機関と一緒になって改善していけばいいのです。

実際に返済する財源が少なくなってきた時、どうすれば良いか悩み、経営者自らの資金を入れたり、ノンバンクからの調達、取引先への支払い遅延などが思い浮かぶと思います。自社の責任でなんとかしたいと考えるのは経営者として当たり前のことではありますが、まずは金融機関に相談してみてください。融資先が返済に苦しんでいる時、金融機関は融資先の話をしっかり聞き対応を考えますし、時には、経営上のアドバイスをしてくれることもあります。

具体的な対応としては、返済月額の変更や返済期間の延長などが挙げられます。ただし、対応してもらったとはいえ、いつまでも続けてもらえるわけではありませんし、およそ3か月から6か月に1回程度、経営状況を踏まえて条件の見直しを検討されます。

では、その際に経営者としてやっておくべきことは何でしょうか?

これまでのエッセイでお伝えしましたので勘のいい方は気づかれたことと思いますが、「自社の透明性を高めるために、定期的に財務状況、事業計画をきちんと報告すること」です。

財務状況は毎月の試算表など、こまめに情報提供しておくことです。急に資金繰りが厳しくなった時などには、スピーディに対応してもらいやすくなります。

また、事業計画については、計画自体と計画の進捗状況を報告します。計画には数値目標があり、金融機関は借入金返済や資金繰りが予定通り進んでいるか確認することができます。予定通り進んでいないため返済の条件を変更してもらうのですが、必ず条件を正常化する見通しが立つよう計画を修正しましょう。経営者がきちんと計画を管理できていれば、返済条件を変更している時でも、金利は高くなりますが新たに融資してもらえる可能性があります。

ただ、事業計画や財務状況の分析や改善はいきなり始めようとしても、経営者一人ではなかなか難しいと思いますので、周りの専門家に相談してみてください。こうした分野は、専門家の中でも私のように中小企業診断士が得意としています。

融資の前も後も、金融機関としっかり向き合い、緊密なコミュニケーションをすることがポイントですね。

次回で最終回となりますが、金融機関とうまく付き合っていくための事業計画について詳しくお話ししたいと思います。

寄稿者の写真 小林 昭康 氏のプロフィール

山口市役所において、都市計画やまちづくり等の地域活性化をはじめ、創業や販路開拓、融資等の中小企業支援を担当。2016年、中小企業診断士としてYMSを開業。売上拡大や事業の立て直し、資金調達等、中小企業の経営課題に経営者とともに向き合い、誠実かつスピーディに解決へ導くとともに、中小企業自らの解決力・成長力を高めるサポートを行っている。

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