201612 エッセイ連載 photo by Shin Tamura

【社長のための金融機関との対話力】融資を詳しく知る(その2)

小林 昭康 ( 中小企業診断士 )

こんにちは、中小企業診断士の小林です。前回に続き、融資について話をしていきます。

皆さんが融資を申し込むと、金融機関の中では本当に融資をしていいかどうか、どのように審査されているのでしょうか。審査の流れは、担当者が稟議書を作成し、支店内の融資担当課を経て、支店長の決裁を受けるか、融資額によっては本店に稟議していきます。

内容については、大きく分けて、「数字」と、組織や事業の将来性などの「事業性」を審査されていますが、やはり数字のほうが評価しやすい面があり、8割くらいのウェイトになるのではないかと思います。

会社の「数字」と聞いて、一番に思い浮かぶのは決算書だと思います。決算書は企業にとって1年間の通信簿で、どこから資金を調達し、何に投資したのかという「資産の状況」から、どのくらいの売上があって、経費を差し引いた最終的な利益がいくらであったかという「収益の状況」まで知ることができます。

様々な勘定科目がありますので、企業の業種などによって重点的に見ていくポイントは異なりますが、やはり「現預金」が一番だと思います。決算はいくら黒字であっても、手元に現金がなく、資金ショートしてしまえば会社は倒産してしまいます。できる限り手元に現預金を確保し、資金繰りを安定させることが必要です。一概には言えませんが、少なくとも月商1か月分程度は確保したいですね。

売掛金や買掛金、手形なども、同様にどのくらい現金化できるかという視点で見ていきますが、売上から原価を差し引いた「売上総利益額」は、純粋に本業でどのくらいの現金を稼ぐ力があるか把握できますので大変重要な指標です。

その他、固定資産、役員に関する貸付金・借入金、繰越利益等のほか、勘定科目を組み合わせ、売上高に対する経常利益の比率である「売上高経常利益率」、総資産に占める自己資本の比率である「自己資本比率」などについても確認されます。

このように、決算書からは経営の状況が分かりますが、金融機関は、何よりも借入金を返す能力があるかということを判断していきます。

色々な計算方法がありますが、簡単な方法の一つとして、「税引後当期純利益+減価償却費」が挙げられます。キャッシュフロー計算書を作成されている企業は、フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)でも簡単に把握できると思います。

皆さんも、一度決算書を御覧になって、確かめてみてください。あくまで一つの目安ですので、実際にはこれに加えて、手元現預金や保有資産、経営者とその配偶者の資産状況等を見ていき、最終的な返済能力を審査されます。

次に、「事業性」についてですが、金融機関、金融を所管する金融庁が今、最も注目しています。

これまで、数十年もの間、国の指導・監督もあり、金融機関は数字を中心にして融資の審査をしてきました。公平・公正に審査しやすく、どの職員が審査しても結果に大きな差が生じませんでした。

一方で、過去の実績を表す決算書を中心に審査してきたということになりますので、将来の可能性について審査が十分にできていませんでした。

金融機関は、地域経済の活性化に対して大きな使命を持っています。今後、急速に人口減少、少子高齢化が進み、経済規模が縮小していくことは避けられない中、金融機関の役割は益々大きくなっており、成長可能性の高い企業、事業を見極め、積極的に融資していくことが求められています。

「事業性」を判断するためには、経営理念にはじまり、事業の将来性・社会性、技術・ノウハウ、経営者の資質、社員の士気・能力等を把握していきます。

決算の数値は、ある一時点の経営の結果が表されたにすぎず、「事業性」の高さが、企業の中長期的な稼ぐ力を表すものです。

しかしながら、金融機関の職員にとって事業性を把握することは難しいですので、皆さんが日頃、定期的に職員と面会し、情報提供していくことが必要になります。

経営者が持っている経済・業界認識、自社の業況に対する見解、決算の理解度、今後の売上予測等、経営者が自ら話すようにされると、良い判断材料になるものと思います。

特に、創業前や創業間もない企業は決算実績がないため、どうしても創業者の人物や経験が重視される傾向にあります。創業前後は、経営が非常に不安定で、売上不振や、資金繰り悪化等の経営危機に陥りやすく、乗り越えるためには経営者に確固たる経営理念があり、どんなことがあってもやり抜く志の高さと忍耐の強さが必要になります。金融機関に理解してもらうためには、何度も会ってしっかりアピールしてくださいね。

この「事業性」が高く評価されると、場合によっては代表者の保証や担保が不要になる可能性もありますので、決算数値のみにこだわることなく、人、モノ、金、技術・ノウハウ、ネットワーク等、自らの会社全体を日々磨き上げるようにしてください。

次回は融資された後のことについて、お話ししてみたいと思います。

寄稿者の写真 小林 昭康 氏のプロフィール

山口市役所において、都市計画やまちづくり等の地域活性化をはじめ、創業や販路開拓、融資等の中小企業支援を担当。2016年、中小企業診断士としてYMSを開業。売上拡大や事業の立て直し、資金調達等、中小企業の経営課題に経営者とともに向き合い、誠実かつスピーディに解決へ導くとともに、中小企業自らの解決力・成長力を高めるサポートを行っている。

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