朝景色 エッセイ連載

【社長のための金融機関との対話力】金融機関との対話力を高める事業計画

小林 昭康 ( 中小企業診断士 )

こんにちは、中小企業診断士の小林です。最終回となる今回は、金融機関との対話力を高めるために不可欠な事業計画のポイントについてお話ししていきます。

私には、甥と姪が4人おり、1年に2,3回会っていますが、たった数か月間しかたっていないのに、こんなことが分かるようになったのか、できるようになったのかと、子どもの成長は目を見張るものがあります。ですから、会うたびに、たくさんのことを見たい聞きたいと、おじとしては必死です。知らなかったことは、次に会う時までに、しっかり調べておかなければいけません。相手のことをしっかりと知らなければ、何を話して良いか困ってしまいますし、相手を喜ばせることはできませんよね。

このエッセイのテーマである「対話力」とは、相手の持つ背景、立場を理解した上で、お互いの考えを的確に伝え合い、共有できる力だと思います。
金融機関のことは、ホームページで決算報告書やディスクロージャーにより、経営の結果と今後の方針等、表面的なことを確認することができますが、対話となると相手をさらに深く知る必要がありますので、これまで5回にわたり、普段耳にすることの少ない組織、職員、仕事の考え方、進め方など、多岐に渡りお話ししてきました。
うまく対話するためには、同じく皆さんも企業側がどんな組織なのかということを詳しく伝えていく必要があります。これまで何度かお話ししてきたことですが、その前提として事業計画を作っていただきたいと思います。

事業計画は、経営理念のもと、売上・収益目標を立て、目標達成のために、販路拡大、設備投資、雇用、財務改善等をどのように進めるか明示するものです。
金融機関にとっては、融資に必要な多くの情報を定期的に一度で把握できるため、融資していても返済の見通しが分かり安心ですし、融資の大きなきっかけにもなると思います。

また、自社と金融機関のためだけではなく、他のステークホルダーのためにも重要なものです。中には、毎年事業計画の発表会を開き、金融機関、社員、取引先、地域住民を招待する企業もあります。取引先にとっては、経営状態を把握でき、安心してお付き合いできると判断してもらえますし、地域住民にとっては具体的な企業活動を知ることができ、地域に根差す企業として愛着を持ってもらえるようになります。

事業計画を作成する中で、売上や利益の数値目標を設定することが難しいとよく耳にします。業界平均や他社の実績を目標にする場合がありますが、まずは自社の過去の実績をベースに考えてみることをお勧めします。成功している他社の経営手法は手本として良いと思いますが、結果として出てきた数値は、様々な要因が重なり合ったことにより作られています。それを自社が目標にしたところで、到達するための具体的な方策が出てくることは少ないはずです。
自社の実績に基づいた事業計画であれば、結果を社員とともに振り返り、生じた問題点や課題の原因を決して外部に転嫁することなく自社内に求め、対応策を講じるという徹底した予実管理をしていくことができます。

管理する中で、一番難しいのは収益、資金繰りではないかと思います。できるだけ毎月管理していただきたいですが、多くの場合は、税理士に経理から月次の締めまで依頼し、1~2か月たった頃に送られてくる報告書(たいていの場合、毎月の大まかな決算状況が分かる「月次試算表」をもらうと思います)をファイルに綴じているのではないでしょうか。

税金の計算や1円たりとも間違えない正確さを求めるのであれば必要なことですが、事業計画の管理では、迅速に実績を確認し、計画との差異が生じた原因を突き止め、対応策を講じることがより重要になります。そのためには、税理士に頼りすぎることなく、多少の誤差はあっても自社内でいつも実績を確認できる状態にしておきましょう。それが難しいようであれば、毎月の経理の締めを翌月すぐに税理士に提出し、「月次試算表」をできるだけ早く作成してもらうことです。

事業計画は一度作ってみれば、2回目からは比較的簡単に作れるようになりますが、難しいと感じていらっしゃる方は、税理士、中小企業診断士をはじめ、専門家へ是非相談してみてください。時間はかかりますが、二人三脚で一緒に作成してみましょう。

相談するからとはいえ、専門家へ任せるのではなく経営者自らが先頭に立って作ることが肝になります。経営者らしさ溢れる「志」、「想い」をとことん取り入れ自分の言葉で表現する、いわば「魂を込める」ことではじめて、経営者自らやってみようという「生きた計画」になります。お店で買う野菜よりも自分で育てた野菜のほうが、レストランで食べる料理より自分で調理した料理のほうが、愛着がわいて大事に食べることが多いと思いますが、その感覚に似ているかもしれませんね。

事業計画ができれば、金融機関との対話の準備は完璧です。あとは、直接向き合ってじっくりと話をすることです。
どうしてもお金が介在する関係ですので、対話が堅苦しくなることも少なくないと思いますが、地域にとって、企業は地域活性化の「活力の源」、金融機関はその源を支える「サポーター」であり、ともに地域を元気にする大きな役割を持っています。
その意識でいれば、融資の話にこだわることなく、地域の幅広い話題でざっくばらんに対話をしていただけると思います。お互いにリラックスしてあれもこれもと話していると、新たな融資やビジネスの話に発展するということもよくあることです。

日本で初めて銀行を設立した渋沢栄一は、著書「論語と算盤」の中で、経済界の基盤を固めていくためには「信用」が最も重要であり、「信用こそ全ての基、わずか一つの信用もその力は全てに匹敵する」と述べています。金融機関との対話を重ねることにより、多くの「信用」を築き上げ、自社のみならず、地域の発展に大いに貢献されますことを願っております。

これまで6回にわたるエッセイにお付き合いくださいましてありがとうございました。
また、このように貴重な機会をくださいました島田先生に、この場をお借りし、心から御礼申し上げます。
皆様の会社が、今後益々ご発展されますよう祈念し、エッセイを終えたいと思います。
本当にありがとうございました。  

寄稿者の写真 小林 昭康 氏のプロフィール

山口市役所において、都市計画やまちづくり等の地域活性化をはじめ、創業や販路開拓、融資等の中小企業支援を担当。2016年、中小企業診断士としてYMSを開業。売上拡大や事業の立て直し、資金調達等、中小企業の経営課題に経営者とともに向き合い、誠実かつスピーディに解決へ導くとともに、中小企業自らの解決力・成長力を高めるサポートを行っている。

関連記事

Contact Us

当事務所へのご相談は予約制となっております。お電話もしくは下記のフォームよりご予約のお申込みをお願い致します。
フォームよりお申込み頂いた方には、事務所スタッフより折り返しのご連絡をさせて頂きます。

相談予約はこちら

About Shimada-Law

山口県下関市の法律事務所、島田法律事務所のホームページへお越し頂き、ありがとうございます。当事務所では、同族中小企業の経営者、医療機関を中心にしたサービスを提供しております。

島田法律事務所

〒750-0012
山口県下関市観音崎町12番10号
太陽生命下関ビル5階
Tel 083(250)7881 Fax 083(250)7882受付時間:[平日]9時 〜 17時30分

アクセス情報はこちら >

相談予約はこちら >

News

平成29年の展望

年末年始のお休みなど

ニュース一覧を見る

Seminar

これでわかった!我が家のお墓の管理【無料】
(小倉会場:先着40名様、下関会場:先着70名様)開催日:平成29年3月11日(土)13:30~16:30

ビジネス及び料理に役立つカレーの7不思議【先着100名様、無料】開催日:平成28年12月3日(土) 12:30〜15:30

セミナー情報一覧へ

Recruit

弁護士・司法書士・一般事務職員の募集を行っております。詳しい募集内容はエントリーフォームのページをご覧下さい。

エントリーフォームへ

Mail Magazine

毎月1回、メールマガジンを配信中です。ご興味のある方は是非お申し込み下さい。

ご登録はコチラ

各職種別対象メールマガジン

職種別対象のメールマガジンを開始しました。ご興味のある方は是非お申し込み下さい。

ご登録はコチラ

Facebook

facebook