5b752653ddcda5dbb820b16993bf0c87_s エッセイ連載

【経営者のスクリーン】第6回:「みんなのいえ」 2001年

鴻池 和彦 ( 株式会社cinepos 代表 )

(監督/三谷幸喜 出演/唐沢寿明 田中邦衛 田中直樹 八木亜希子)

舞台、映画、TVと幅広く活躍し、ヒットメーカーである脚本家・三谷幸喜による自身3本目の監督作品。その作品を解説いたしますと――

バラエティ番組を手がける放送作家である直介は、妻の民子と2人で新居を建てることになります。民子の提案で設計を彼女の大学時代の同窓でデザイナーの柳沢に、施工を大工の棟梁である父の長一郎にそれぞれ依頼をします。しかし、海外ベースのデザイナーズ志向の柳沢に対し、日本の在来工法でしか家を建てた事がない長一郎は、考え方、やり方を巡って激しく対立してしまいます。
結局、両社の対立は解消しないまま、柳沢が匙を投げる形で建築が進められます。
「二人は似た者同士なんだよ」
直介は不安を感じる民子を慰めます。
そして建築現場は柳沢を疎ましく思う始末。そんな折、タイルの建材を選ぶにあたり、日本の竹割りのイラストを書く柳沢。
「案外、誰よりも古いものが好きなだけかもしれないな」
長一郎の心に少しづつ変化の兆しが。
柳沢はとあるバーに行き、何度も思い通りのカクテルを作れず、作っては捨てるバーテンダーの口から発せられる「自分の問題ですから」とプロフェッショナルな姿勢に自身を投影し、憤りを覚えます。

そんな中、大嵐が発生。長一郎が建築現場を見に行くと、柳沢も現れます。確認を済ませた帰り道、現場に急行中の直介の車を前方に、視界不良の為、柳沢の車は横転。積んでいた200万円相当のバロック式家具が壊れてしまいます。柳沢は依頼主から修復を頼まれていた家具が完全に壊れて途方に暮れます。そこで直介は長一郎に家具の修理を懇願するのです。
壊れた家具を見た長一郎は修復を決意し、「昔も今も職人の考えることは日本も海外も同じだ」と修復してしまいます。そして完成するころには、長一郎と柳沢は和解していました。
無事、素敵な家が完成し、お披露目の日、高台から新築の家を望む、長一郎と柳沢の姿があります。
当初6畳だった和室が長一郎の意向で勝手に20畳に作り替えられ、その事を長一郎に問う柳沢に長一郎の返答は「あれはちょっと広すぎた」と単なる柳沢への反発であった事を認めるのでした。

自らの体験談をベースにストーリーテリングに長けた、三谷幸喜のドラマ作りの冴えが際立つ本作品ですが、経営者のスクリーンの最終回に本作を選んだ理由として、異なるもの同士の融合、違いを認め合う勇気、その融合こそ最高のカタチを生み出せるものだという真理をお伝えしたいと思ったからです。
本作はそのモチーフとして、家という媒体を扱っていますが、その根幹であるポイントは西洋と東洋の融合、まさにその結晶を意味します。私には日本という国の有り様、そこをフィルターにしているように思えます。
日本は明治期においてその確信を繋いでいく様相を呈しますが、これは聖徳太子登場以前より、日本が様々な文化、思想を受容していける風土があった特異性を感じずにはおれません。
例えに、トヨタ自動車の“カイゼン”というワードを出すまでもなく、変わることへの対応力、その順応性は日本人に備わった武器でもあるのだと理解できます。
ここを私たちはもっと自覚して、よりよい人生を選択すべきではないかと思います。
会社経営でも、ブランディングは言い換えればセンス良く差別化できる事、これは伝統を継承し続ける事をもって、他の追随を許さないとする自信があれば、もはやブランディングの意味とは異なり、すでに差別化に成功できているのかもしれません。しかし大半の企業は同業他社、もしくはマーケットの中でどのように差別化できるか、日々、熟考の中にあります。
私はやや客観的になる事が大事ではないかと考えます。目標への手段、そしてスピードアップへの方法論、その根拠こそ、自分の考えが一番正しい、これを認めない者はダメだ――
もし、そうした自分を認識できた場合、それは融合が必要な時だと考えてみてはいかがでしょうか。
新しい考え方や、異なった性格の人物を受け容れてみる。意外と、手段や方法論に該当すべきポイントである可能性は否めないと思います。
本来の受容できる資質に気づかず、いろんなきっかけを逃している事はなかったかなと思いを巡らしてみるのも大事かもしれません。
合せて、世代間ギャップへの問題も経営上、理解をしていく困難の壁とも云われます。
やはり、ここでもキーワードは融合に他なりません。調和は力のあるものが歩み寄るとされます。
妥協ではなく理解しようという姿勢が試されるのです。若いから自分より劣るという考えを捨てて、一人の人間として尊重する見方が肝要でしょう。

私自身の指針に直結できる要素が、映画「みんなのいえ」には詰まっています。
全六回の映画作品を通して、心の豊かさを感じる縁になれば幸いです。半年間どうも有難うございました。

寄稿者の写真 鴻池 和彦 氏のプロフィール

1971年下関市生まれ。1993年円谷プロダクション入社。
その後、東北新社、ギャガ・コミュニケーションズ等で企画・制作・プロデュースに従事。
2005年下関帰郷後、下関大和町郵便局長を務める傍ら、
これまで培った映画製作方法論を活かし映画制作cinepos(シネポス)を設立。
映画・CM・PVと映像制作は多岐にわたる。2016年6月に株式会社cineposを下関にて起業。
主なプロデュース・脚本・監督作品
「MAIL」(出演 須賀貴匡、栗山千明 ※プロデュースのみ)
「雨の町」(出演 和田聰宏 真木よう子 成海璃子 ※プロデュースのみ)
「センシティブ」(出演 小山田サユリ 春永由香 仲慎太郎)
「ソロウ・オア・スマイル」(出演 角島美緒 ロバートニシムラ MARIA)
「ここに、いる」(出演 伴大介 高樹澪)

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