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任意後見人制度の意義と限界

島田 直行 ( 島田法律事務所所長 )

今朝の日経新聞によると任意後見契約が1万件を超えて増加しているとのこと。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO07711750X20C16A9CR8000/

事務所でもできるだけ多くの人に任意後見契約を作成していただくべくセミナーでも積極的に案内している。まだまだ周知されていない部分があるのも事実だ。

そもそも少なくない人が親が認知症になっても自由に親の口座から引きおろしができると誤解している。いざ引きおろそうとしたら「ご家族でもだめです。成年後見人を。」と言われてしまうことがある。とくに高齢者をターゲットにした詐欺が増えている現状ではさらに家族といえども拒否されることは増えるだろう。「うちは田舎で窓口の人とは顔見知りでなんとか」という淡い期待はやめたほうがいい。

判断能力が低下した方の財産管理の方法としては,成年後見人が知られている。家庭裁判所から選任された子どもらが親の財産を代理人として管理することになる。この成年後見人の制度では,誰を成年後見人にするか決めるのは家庭裁判所であって親族ではない。例えば長男と次男の仲の悪いケースでは,いくら長男が希望しても家庭裁判所は弁護士など第三者を母親の成年後見人に選任することがある。

いきなり第三者が家庭の財産を管理するわけだ。まぁ,他の家族にしては面白い話ではない。そのうえ弁護士も無償ではないため家庭裁判所の定めた報酬を被後見人の財産からいただくことになる。

あなたは,判断能力が低下したときに第三者に財産を管理してもらいたいか?

そんな人はあまりいない。やはり親族に管理してもらいたいと思うのが普通でしょう。そもそも第三者が管理することがあることすら知らない人も多い。

そこで自分が元気なうちに財産管理者を定めておくのが任意後見契約と考えていただければいい。自分の判断能力が低下したときには,契約を締結した相手方が財産を管理してくれるわけだ。これでどこの誰かもわからない人が財産を管理することを防ぐことができる。自分の財産を自分の親族に管理してほしいなら財産の有無に関係なく任意後見契約をしておくべきだ。

「うちには財産なんてないから」と話をそらす人に限って周囲の親族は大変なものだ。

自分の周囲には面倒見てくれるような家族がいないという人もいるだろう。

このような任意後見契約にも当然であるが限界がある。それは財産の「運用」ができないことだ。例えば任意後見人は,うまく権限を設定すれば不動産を修繕することや賃料を回収したりすることはできる。場合によっては不動産を売却することも可能である。だが不動産を投資目的で購入したりすることはできない。他にも節税対策のためになにかをするというのもできない。

これは親族からすればけっこうな不満になっている。「財産価値を維持することだけが本人の希望ではない。」と言われればたしかにそうだ。だが判断能力が低下して自分で意思表示ができないのであるからどうしても「本人のため」となると現在の財産価値を維持することで留めざるをえない。自由な運用を認めてしまうと運用に失敗して本人の生活すら危険になる可能性もあるからだ。

この運用のリスクを段階的にとれるような制度設計が期待されるところではある。

寄稿者の写真 島田 直行 氏のプロフィール

山口県下関市出身。下関西高、京都大学法学部卒業。
平成17年司法試験に合格、平成19年山口県弁護士会に登録。
下関市内にて勤務弁護士として企業側の事件処理に関与する。
平成22年に島田法律事務所を設立し、主に同族中小企業のオーナーを対象にしたサービスを提供する。提供するサービスは経営再建から事業承継まで同族中小企業の全てに渡る。
平成24年には、経産省より経営革新等支援機関に認定される。企業法務以外の分野では、相続をライフワークとして積極的に取り組んでいる。
趣味は食べ歩きと読書。

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