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なぜ、あの経営者は労働問題で悩まないのか?

弁護士 島田直行 のブログ

-弁護士に相談するべき経営者の労働問題とは-

経営者のための労働問題ブログ 第49話

あいまいな依存関係で苦しむときに

公開日
2017.09.08
投稿者
島田 直行( 島田法律事務所 所長弁護士)

僕は,日本的家族経営は中小企業の強みだと考えています。ですがなにごとも作用・反作用というものがあります。家族的経営にこだわることでメリットもあれば,どうしてもデメリットもうまれてきます。

かつてはメリットが強くデメリットが問題として顕在化することがありませんでした。正確には家族的経営がスタンダードでデメリットを意識することがなかったということでしょう。学校を卒業すれば就職して定年まで勤務する。ときには部下の個人的な悩みにも対応する。それがマネージャーの仕事だからと。

でも時代が変わりました。ITの発達で従来のワークスタイルは変わり,転職にしてもずいぶん頻繁に行われるようになりました。こうなるとかつては意識されなかった家族経営の問題点が顕在化してくることになります。

なぜ日本企業は勝てなくなったのか: 個を活かす「分化」の組織論 (新潮選書) 単行本 – 太田 肇 (著)

著者は,現代の労働環境の問題点を個人の分化が不完全性にあるとします。どうしても組織に依存しなければならないという労働モデルがパワハラをはじめとした問題の原因にあるのではないかということです。

このような指摘は家族的経営における問題点として位置づけられるでしょう。家族的経営では,「内」と「外」を明確にわけます。これは組織の内と外という位置づけにもなるでしょう。ですからできるだけ社員は,組織の内に入るように見えない力が作用します。そのような力が個人にとってプレッシャーになるということです。

著者の指摘はひとつの真理を突いていると考えます。会社として同質性を求める余りに内部に反発が生まれるということは散見されます。

やはりいきつくところはバランスです。家族的経営を肯定しつつ「個人の分化」をいかに取り入れていくのかという視点が経営者には求められるのかもしれません。なんでもかんでも「ひとつ」にするのではなく「個人」を認めていく。それがこれからのワークスタイルになるのかもしれません。