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ブログ 浜辺の事務所から

日々の出来事を徒然に綴っています。

ブログ 浜辺の事務所から 第92話

求人票に正しいことを記載していなかった。そのとき会社はどうなるの?

公開日
2018.02.26
投稿者
島田 直行( 所長弁護士)

3月から5月にかけては,中途採用が活発化する時期だ。とくに女性の場合には,子どもが入学して生活が落ち着いたところで「勤務先を考えてみよう」ということになる。

現在ではネットをはじめとした採用のスタイルがいろいろある。それでも地方の中小企業にとっては,ハローワークでの採用が現実的かつ効果的な方法であることに変わりはない。ネットの場合には,どうしても他の企業と容易に比較されてしまい自社の特徴を表現できない。

ハローワークひとつとっても応募の多いところと少ないところがある。賃金の多寡ではなく応募数に歴然たる相違がある。ハローワークの記載方法ひとつ変更するだけでも違うのだから練ればもっと変わるだろう。ハローワークの記載方法を売りにしているコンサルタントの人もいるようだから興味があれば相談してもいいかもしれない。

経営者としては,ひとりでも多くの人に応募して欲しいはずだ。求人票の記載内容を検討して特色をだすのは大いに結構なことだ。だが思いすぎて「盛って」がいけない。

かつては固定残業部分もさも基本給のような募集もあった。現在ではこれは厳しく指摘されるから目にすることはないだろう。ここまでのことはなくても意外と求人票の記載と実際の勤務が違うというトラブルは少なくない。

例えば「定年まで勤務できます」と求人票にありつつも「とりあえず1年間の勤務の様子をみて~」といったことは珍しくないだろう。こういう運用をしているといつか労働トラブルになってしまう。

京都地判平成29年3月30日は求人票の記載が実際と異なっているとして争われた事件だ。簡単に言えば無期雇用と求人票にあるのに実際には有期雇用とされたというものだ。

判決では求人票の記載のとおり無期雇用として認定されている。

この事案では労働者は,労働条件通知書に署名捺印している。それでも会社は,労働者の同意はなかったとして無期雇用としているのが特徴的だ。裁判所としては,求人票記載よりも不利な条件変更については労働者の同意の有無について慎重になすべきとしている。条件が変更される理由もはっきりせず「拒否したら働けないかも」という心理状態でなされた同意は意味がないということだ。

求人票には正確なことを記載する。これは鉄則だ。仮にやむを得ず変更する場合には,たんに同意書面があるというだけでは不十分。どういう理由でどのように変更するのか。そういう点も説明をして同意を得てカタチを作っておくべきであろう。