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ブログ 浜辺の事務所から

日々の出来事を徒然に綴っています。

ブログ 浜辺の事務所から 第93話

立派な就業規則があっても経営者が労働事件に敗れる根本的な理由

公開日
2018.03.12
投稿者
島田 直行( 所長弁護士)

「この事案は,はっきりいって不利です」

労働事件の初回相談でよく経営者に伝える一言だ。「勝つために相談に来ているのになんで弱腰なんだ」と叱責されたこともある。それでも偽らず事実であるから仕方ない。適当な意見で弁護士報酬だけもらうという気持ちにはさらさらならない。「ご理解いただけないのであればどうぞ他の弁護士へ」というのが僕の基本的なスタンスだ。

経営者のなかには「うちは社労士さんに就業規則を作成してもらったから未払賃金などない」と豪語される方もいる。こういう経営者は,なぜ経営者が労働事件で負けるのか根本的な理由を認識していない。

あくまで個人的な見解ではあるが就業規則の内容如何によって労働事件になることはあまりない。多くはモデル就業規則や専門家によって作成されているので内容自体に問題があるということはあまり目にしない。(実際にはまったく経営者の理念もなにもないただカタチだけのものも少なくないのだが本題とはずれるのでやめておく)

ではなぜ立派な就業規則があっても敗れるのか。それは運用に失敗しているからだ。

就業規則は,たんに作成して終了というものではない。それを現実の労働現場で運用しなければまったく意味がない。「そんなことあたりまえ」という批判もあるが本当に作成と運用がリンクしているか今一度確認していただきたい。

例えばいわゆるみなし残業制。労務管理の便宜性のため導入をしている企業は多いが運用までパーフェクトというのは意外に少ない。経営者の「作ってしまえばいいのだろ」という思惑が見え隠れしてしまう。運用に失敗すればせっかく導入した制度も法廷で否定される可能性すらある。

運用できないような制度を導入しても無駄だ。そもそも制度は,運用から逆算して考えなければならない。

運用に失敗する多くの理由は,もともとの商習慣と離れた理論だけの制度を導入してしまうからだ。事実は先にあるのに理論を無理にあてはめてしまうために運用ができなくなる。人は,それほど自分の習慣を容易に変えることなどできない。

大事なのとは既存の習慣をできるだけ変えない形での制度を選択して導入することだ。「カタチ先にありき」ではうまくいくはずがない。ですから就業規則にしてもさ最初にするべきことは現在の労働状況を観察することだ。その労働状況をできるだけ維持できるように就業規則を作りこんでいくことが必要なわけだ。

この順番は間違ってはならない。