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なぜ、あの経営者は労働問題で悩まないのか?

弁護士 島田直行 のブログ

-弁護士に相談するべき経営者の労働問題とは-

経営者のための労働問題ブログ 第79話

経営者は理念を言葉にできる。

公開日
2017.12.26
投稿者
島田 直行( 島田法律事務所 所長弁護士)

気がつけば平成29年もラストの週です。年末ということもありとある経営者の方が挨拶にいらっしゃいました。たわいない話から人不足のことに話がいたりました。すると経営者の方がおもむろに持論を話されました。

この方によれば,このところスキルアップなどのためになかなか社員が定着しないと悩まれていたそうです。最初は「スキルアップなら仕方ない」ということで応援していたようですがさすがに人手不足もあり離職率の低下のためになにかをしないといろいろ考えあぐねていたとのこと。いろいろ本やコンサルタントに相談したもののなかなか手応えのでない日々が続いていたそうです。

そのなかで改めて「自分が何を事業で実現したいのか」について考えるときがありました。そのときはじめて自分が経営理念を言葉で社員に伝えていなかったことに愕然としたそうです。

理念が社員に広まらないというのは,方位磁石ないまま歩き続けるようなものです。ゴールがわかないままスタートするというのは社員としてもなんとも困惑するものです。私が労務コンサルティングをするときにも経営理念というものを具体的に確認するようにしています。社長の理念のない組織論などいくら立派なものでも役立つはずないからです。

またこのような経営理念は,言葉で表現できるレベルにしておく必要があります。

さきほどの経営者は,自分なりの理念なり価値観なりをしっかりもっておられました。日々の事業を丁寧に実行すれば,社員も自然と理念ありを共感してもらえると考えておられました。人は背中で語るとも言いますから。

ですがこのようなノンバーバルな伝達がうまく成り立つには,経験値がある程度共通する必要があります。まったく経験値の違う人にとっては,いくら「背中を見て」と言われても「どの背中からなにを見るの」ということになってしまいます。

社員への伝達をうまくするためにも経営理念は,社長の言葉で表現することが求められます。このとき注意することはふたつあります。

まず言葉は,社長の言葉でないといけないということです。なんとなく格調高い言葉を流用しても社員には伝わらないものです。社長が「ああでもない。こうでもない」と考え抜いた言葉こそ経験に裏打ちされたものですから迫力を持ってきます。なかには「小学生でもわかる言葉で」にこだわる方もいらっしゃいます。いちど拝見したことがありますがたしかにシンプルにして迫力ある言葉でした。

次に理念は,言い続け行動し続けないといけないということです。たったいちどの理念の発表で社員に浸透するはずがありません。仮に社員から「わかりました」と回答があってもたんに知識として把握しただけであって行動規範までになっているとはとうてい考えられません。ひとは,それほど簡単に自分の行動規範を変えるものではありません。なんどもなんどもしつこいくらいに理念に立ち返って指導なりすることで「社長の考えが少しわかりました」となるのが普通です。

年末を迎えて家族で事業承継の話をする方もいらっしゃるでしょう。ぜひ次の世代にどのような理念を残していくべきかを検討なさってください。