初回無料相談はこちら

なぜ、あの経営者は労働問題で悩まないのか?

弁護士 島田直行 のブログ

-弁護士に相談するべき経営者の労働問題とは-

経営者のための労働問題ブログ 第47話

能力が「伸びる」ことを学んでみると

公開日
2017.09.01
投稿者
島田 直行( 島田法律事務所 所長弁護士)

人手不足の現代。人材教育に関する本が重宝されています。その多くは,ふたつの種類に大別されるでしょう。①教育の方法についてまとめたものと②特定のスキルの伸ばし方です。

読めば納得するもののいざ自分で挑戦してみようとしてもうまくいかないものです。私は,前からどうして人材教育がうまくいかないのか考えていました。うまくいかないのは,その原因が特定されていないからです。

成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法 単行本 
加藤 洋平 (著)

これを読んで「あぁそうか。」とできない理由に納得しました。その理由は,個人の能力が成長の仕方を理解していないことです。これまでの本は,「どうやって教えるか」が中心であって「どうやって成長していくのか」について意識が向いていなかったわけです。ですがあたりまえのことですが成長する側のプロセスがわかっていないといくら外部から情報を提供しても吸収されません。

この本は,個人の能力が「伸びる」プロセスがわかりやすくまとめています。結構な分量がありますが論理的かつわかりやすい表現なのでまったく知識のない人でも一気に読むことができます。

まず個人のスキルというのは,環境と課題によって変動するということから始まります。私たちは,あるスキルについて「あるかないか」でとらえる傾向があります。ですが実際には,いったん手に入れたスキルであっても別の状況ではうまく機能しないこともあるということです。つまりスキルは,状況によって減退することもある極めて変動性の高いものだということです。

これはみなさんもなんとなくわかるでしょう。前職でかなりのパフォーマンスをあげていた人が転職したらまったくうまくいかないなど。

そのうえで成長のプロセスについての説明があります。ここでは個人の成長が点から立体に至るプロセスとして展開されていきます。ベースになるのは,カート・フィッシャー教授の成人発達理論です。成人発達理論と表現するとなんとなく難しい印象ですが個別具体的な事象から抽象的な事情まで13段階を経て能力が展開していくことをまとめたものです。

この本の中でいっかんするのは,個人の成長は他者を通じて実現されるということです。いくら自分で学んだとしても他者との個別的な経験がなければ個人の成長にはならないとされます。これはみなさんも共感できるのではないでしょうか。いくら本や資格の勉強をしたとしても日常の仕事で活用したものでなければ,知識としても定着せずにまして個人の成長にはなりません。

成長のプロセスをざっくりとでも学んでおくことは,実際に人材教育をするうえでも不可欠でしょう。個人の能力を伸ばせる会社にするために一読をお勧めします。