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インタビューcase2

GUEST

吉川 美津子 氏

アルック代表吉川 美津子(キッカワミツコ)

東京都出身。葬儀・お墓・終活コンサルタント。社会福祉士。アルック代表。
(一般社団法人)供養コンシェルジュ協会 理事
(一般社団法人)日本葬祭アート&デザイン協会 理事
(一般社団法人)全国環境マネジメント協会 顧問
(学校法人)中央美術学園 顧問
(学校法人)駿河台南学園:駿台トラベル&ホテル専門学校非常勤講師

大学卒業後はツアーコンダクターとして国内外を旅し、その後シンガポール駐在。
帰国後は「地球の歩き方」ほか、旅行情報誌、旅行業界誌の取材・執筆に携わる。90年代半ばに葬儀業界へ転身し、葬儀専門人材派遣会社を経て、大手葬儀社に勤務。続いて仏壇・墓石販売店に勤務。専門学校にて葬祭ビジネス関連学科の運営メンバーとして活動しはじめた頃から、現場を離れて人材育成や情報発信、コンサルタント業務などに軸をおいている。
障害者分野(重度訪問介護)、高齢者分野(特別養護老人ホーム)で、介護、見守り、見取りの現場でも現在活動中。

墓は「継ぐもの」ではなくなるかもしれません

島田
今回、下関にお越しいただいてセミナーを開いていただきました。ありがとうございました。早速ですが、吉川先生がお墓に関わるお仕事を始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
吉川氏
会社勤めで、お墓を売っていたのがきっかけです。当時は「少しでもいいお墓を」と、一生懸命に売っていました。
島田
皆さんお墓を持っていらっしゃいますが、お墓の管理となるとなかなかぴんと来ないようですね。今までのお墓のスタイルというのは、先祖がいて子孫がいることを前提としたシステム。ですから、現代のような少子化、地方の人口減といったことが想定されていなかったのですね。
吉川氏
私が独立してからは、お客様目線になって承継システムというものを考えていかなければと考えるようになりました。
島田
先生の書籍を読み、セミナーをお聞きして、墓地の管理システムが変わってきたのだとつくづく感じます。
吉川氏
今後、「お墓を継ぐシステム」は崩壊すると思います。
島田
そうですね。従前のように「当然継ぐもの」ではなくなるのではないかと思います。檀家制度も家制度も、さまざまな価値観による変化の過渡期にあるように感じられます。その中で現在、いろんなトラブルが増えてきているように思われます。いろんな案件に関わってきて、「お墓のトラブル」といえば、どのようなものをイメージされますか?

「お墓をたたんで終わり」ではありません

吉川氏
「おひとりさま」でしょうか。自分が死んでしまったら、その後は「誰に託せばいいの?」という問題が出てきます。周囲の方は「お葬式くらいはしてあげる」という気持ちにはなっても、「遺骨を預かるのは勘弁」というのが本音ではないでしょうか。ましてや「四十九日や一周忌まではできない」と考えているでしょう。
島田
おひとりさまというのは、社会的な問題でもあります。人間というのは死んでからのことも意識します。
吉川氏
例えばスウェーデンの話ですが、火葬場までは皆さん行くんです。ただ、遺骨を引き取ることはなく、骨上げなんてこともありません。遺骨を引き取り、どうやって供養するか、次世代に伝えていくというのは、日本ならではの問題なのだと思います。
島田
その通りだと思います。日本人は「死んで終わり」ではないのですね。死んだ後のつながりというものがあります。良いことなのですけれど、今はそれが重荷になってきているのかなと思います。下関でも圧倒的に多いのが、お墓が管理できないから都会へ移すという改葬です。改葬における問題といえば「離檀料」(離檀の際に渡すお布施)が典型的ですが、他には何かありますか?
吉川氏
親戚間のトラブルが多いですね。なぜ改葬するのか、なぜお墓をたたまなければならないのかということを、きちんと話し合うことが重要です。「お墓をたたんで終わり」ではありません。「どうやって先祖の縁をつないでいくのか」という視点で考えていくと良いでしょう。縁をつなぐのは自分たちなのか、お寺さんなのか。何がベストなのかを考えながら、親戚と話し合うことが大切ですね。
島田
こればかりは自分の判断だけではできませんよね。他にもお墓のトラブルはあると思いますが、そもそも、「相談先が分からない」ということが多いのではないでしょうか。

お墓の管理は、現代の日本が抱える問題です

吉川氏
そうなんです。石材店でも霊園でもない…。お寺さんには反対されますし(笑)
島田
吉川先生の所には、どういった形で相談が来るのでしょうか?
吉川氏
インターネットから相談を受けることが多いですね。その都度、お伺いすることはできないので、行政書士をはじめとした専門家や石材店の方に、間に入ってもらうことが多いです。
島田
吉川先生が整理して、専門家や石材店の方に仕事を振るということですね。なぜ、吉川先生のような仕事ができる方が増えないのでしょうか? この領域には「触れてはいけない」といった感覚があるのでしょうか。
吉川氏
改葬について、石材店には賛否があります。「無縁墓になるくらいなら」と、積極的に「墓じまい」を進める企業もあれば、「石材店がそれを言ってはいけない。墓を守ることを伝えるのも石材店の役目」という考えの企業もあり、業界の中でも意見が分かれています。
島田
会社の価値観の違いですよね。ところで、お墓も葬祭もそうなのですが、かなり情報開示が遅れた分野だと思うのです。「開示してはいけない」と考えるところがある。時代が変わってきている中で、業界全体の情報開示がもっとできたらいいなと思うのですが。
吉川氏
開示といえば、全くしていなかったわけではありません。葬儀でいえば、20年前から見積書、料金表をきちんと作っていたところもありました。ただ、業界の外まではそのことがきちんと伝わっていなかったのです。ですが、2009年にイオンが「イオンのお葬式」というものを出してから、この業界でも情報を開示されるようになったと世間から見られるようになりました。これで、業界全体が活動しやすくなったように思います。

生と死を見つめて
穏やかな死を迎えられる社会を

島田
これからはお墓の管理に関することも、比較検討されるようになるかもしれません。今まではそのこと自体が、「失礼」だと思われていた。時代が変わってくるかもしれませんね。今後の吉川先生の仕事のスタイルは、どのように変わっていくのでしょうか?
吉川氏
今は、「生と死」を境にして、はっきりと業界が分かれています。両者をつないでいくような役割ができたらと考えています。
島田
生と死との間、接点の部分における制度や価値観が「スポッ」と抜け落ちているように思います。
吉川氏
例えば、病院の前に葬儀式場ができそうになると、病院が率先して反対するということがありました。本来、病院としては生と死を共に見つめていかなければならないものだと思います。韓国では、病院の中に葬儀式場があるくらいです。医療機関自体が、死を「忌み嫌うもの」という意識を取り払っていただきたいなと思います。
島田
正に賛同です。日本人にとって「死」というものが遠くなってきているのです。今、自宅で亡くなっている方は、1割程度しかいないと言われています。これが人間のあるべき死なのかと、常に疑問に思います。医療には「死に打ち勝つ」というイメージがありますけれども、死は避けては通れないものですから、時間というものを大切にして穏やかな死を迎えられるような社会をつくっていきたいなと思いますよね。本日は、ありがとうございました。
吉川氏
こちらこそ、ありがとうございました。