従業員が会社のお金に手を付けたときどうしたらいいでしょう?
固定残業代をいれたら大丈夫ですかね?
「固定残業代制」を導入している中小企業が増えています。
固定残業代制とは,基本給とは別に毎月定まった残業代を支払う制度です。例えば「毎月30時間分を基本給とは別に支払う」というものです。
企業にとっては残業代の見込みを立てやすいこと,計算が簡略化ができることなどから導入が進んでいるようです。また,これを導入していないと,ハローワークでの求人がうまくいかないという理由もあるようです。
この制度は一見すると魅力的に見えますが,実際は適切に運用することが容易ではありません。そこで,固定残業代制の注意点を3つお伝えします。あなたの会社でも適切に運用できているか,ぜひ確認してみてください。
1 導入の際には周知を
導入に当たっては,事前に従業員に周知徹底しなければなりません。一般的には就業規則に導入を明示することになります。毎月何時間相当分を固定残業代制として支払うのか,具体的な数字で明示しておく必要があります。「固定残業代を導入する」だけでは意味がありません。
2 給与明細には区別を明示して
毎月賃金を支払う際,給与明細で基本給と固定残業代の区別がつくように示してください。基本給の中に固定残業代部分を含める,あるいは別の手当名目にするといったことはしないでください。固定残業代部分が客観的に区別できなければ,固定残業代が支払われていないと認定されるリスクがあります。
3 時間管理を忘れずに
固定残業代を導入したとしても,日々の勤務時間を正確に把握しておかなければなりません。また,毎月30時間相当の固定残業代制を導入している場合,ある月に32時間の残業があれば,別に2時間分の残業代を支払う必要があります。逆に,ある月に25時間の残業しかなくても30時間分の固定残業代は支払わなければなりません。
私たちは島田法律事務所では,固定残業代制を導入するメリットを感じていないため、あまりお勧めしていません。むしろ従来の勤怠管理の制度を維持しつつ残業の管理を厳格にすることの方が、中小企業にとっては運用しやすいと考えています。
残業代の管理でお困りの場合には「初回無料相談」を利用して,ぜひ一度ご相談にいらしてください。