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ハラスメント

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クレーマーからの悪質な書き込み。心折れそうなときどうする

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.09.29

ネットでは、誰しもが不特定多数人に対して発信をすることができます。しかも匿名で。私たちは、レストランなどを選択するときにネットの評価を参照にするでしょう。ここには前提として「匿名での回答だから信用性があるだろう」という発想があります。ですがこういった評価のなかには明らかに悪意に満ちたものがあります。僕のクライアントでもこういった評価に悩まれている方が少なくありません。誰でも表現できるとは、誰でも加害者になる可能性があります。

先日、正義を振りかざす「極端な人」の正体 という本を読みました。ネットにおける極端な意見の展開についてエビデンスベースで論じてあって勉強になりました。「ネットの評価に腹が立って許せない」という方は一読をお勧めします。少し冷静さを取り戻すことができるでしょう。本書のポイントをいくつか集めると次のようになります。

  • 極端な意見を言うのは本当にごく一部の人
  • 何も言わず閲覧しているだけの人も影響を受ける
  • 極端な意見ばかり目にするようになる
  • 実名にしても問題の解決にはならない

これまで自分の考えたことにピタリと。そう僕らは、「ごくごく一部の者」のせいでなんとも言いようないストレスを受けてしまいます。本人は、自分の書き込みについてまったく罪悪感を抱いていないようです。その人にとっては、「他の人もしていること」など気楽な気持ちなんでしょう。「なぜ人の気持ちがわからないのか」と言いたくもなります。ですがいくら質問をしても具体的な回答はないでしょう。むしろ「なぜ、そこまで他人の気持ちを理解しないとならないの。私はたんに自分の書きたいことを書ければいい」というくらいの回答しかないのではないでしょうか。つまり自分以外のことを認識できないし、認識しようとも思えないわけです。

実際のクレーマーにしても「自分がクレーマー」という認識はないです。むしろ自分は自分の正義を語るだけだというスタンスでやってくるから議論になりません。こういう人は「正義」「誠実」とかいった否定できない言葉を連ねて無茶な要求することが好きなんです。

被害にあった経営者からは、「ネットで匿名で記載できるのはおかしい」という声を耳にします。ごもっとですが匿名だからこそ自由に発言ができるという側面もあります。「匿名だからまずい」というのでは、本音に基づく表現活動が著しく制限される可能性がありますから危険です。そもそも一部の人は匿名に関係なく批判してくるでしょう。実名であるfacebookにおいても過激な意見を展開する人はどうしてもいます。

こういった人は、議論をして相手を追い込むことでなにがしかのストレス発散をしているのかもしれません。人は正義を語ることでストレスの発散をすることができます。「自分は高貴で相手は愚かだ」ということを擬似的に味わうことができるからです。それがいかに愚かな行為であるかはわからないまま。不当なコメントに対して議論をするのは相手の思うつぼです。相手は匿名、こちらは実名となれば、それだけで相手が有利な議論になるでしょう。ですから不当なコメントに対して安易に否定することが戦略として有効とは限りません。

個人的には「無視する」というのが一番と考えます。そもそもリテラシーのある人であれば、極端な意見の人を避けます。「それは言い過ぎだろ」と自分のなかできちんと情報の濾過がされます。むしろこういった濾過機能をいかに高めていくかがあふれる情報の中で暮らすうえで大事なことのように思います。

無視するというのは、それはそれでかなりストレスを受けます。でも相手にしたら思うつぼです。泥沼にはまり込みます。無視してもさらに続くようであれば情報開示あるいは警察マターにするしかないです。でもこういった作業には相当の時間を要します。よく「すぐに抹消して欲しい」と言われることがありますが早くても数ヶ月は要します。はっきりいってネットの書き込みによる被害を事後的に回復するのは相当困難です。損害賠償をを請求しても広がった風評を回復することにならないでしょう。

こういった被害をなくすためには、「加害者にどのように対応するか」という視点だけではもはや対処できません。いかなる制度を設計してもおそらく過激な批判をする人がいなくなることはないでしょう。ですから同時に必要なのは目にした人が過激な意見に引っ張られないようにリテラシーをあげていくことでしょう。

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