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ハラスメント

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クレーマー対応は弱気な人ほどうまくいく

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2017.09.16

 「不当な要求には毅然とした対応を」と言われますが毅然とした態度=豪胆な人というわけではありません。クレーマー対応は、ひとつの技術であって個人の精神力に依存するようなものではあってはなりません。精神力を鍛えるなんてそんな簡単なことではありません。強いて言えば対人関係の苦手で弱気な人の方がむしろクレーマー対応には向いています。

クレーマーに勝ちにいくと負けてしまいます

 人の性格は、千差万別です。気の強い人もいれば気の弱い人もいます。とかく経営者はワンマンで豪胆な人が多いイメージがあります。私も実際に関わるようになるまでは平原をひとり歩んでいく勇ましいイメージをもっていました。実際のところ経営を見事に展開する人は、繊細な心を持っているような印象があります。

 気の強い人は、とかくあらゆる判断を勝負という枠組みのなかで考えてしまう傾向があります。商売とは、いきつくところはライバルとの勝負となってしまうためある意味では仕方ないのかもしれません。ですが経営に関するあらゆることについて勝負としての結果が必要とされるわけではありません。

 クレーマー対応にしても然りです。クレーマー対応の目的は、クレーマーを論破することではなく不当な要求をやめてもらうことです。論破すれば「勝った」と感じるからもしれませんが別のクレームに展開することだってあります。これはいつまでたっても問題の本質的な解決にはならないでしょう。それなのに強気な人は、「クレーマーに勝ってやる」とばかりに肩に力を入れてしまいます。そうするとついつい余計な一言まで口にしてしまってかえって自分を不利な状況にしてしまうことがあります。

 クレーマーに勝ちにいけば、負けにいくようなものです。勝たない。これが心がけとして大事なわけです。

「こわい」という素朴な感覚が必要です

 クレーマーを相手にするときに「こわい」という素朴な感覚が身の安全を確保することになります。とかく私たちは、恐怖心を克服するものととらえてしまいがちです。ですが実際に生きていくためには恐怖心こそ必要なときもたたあります。

 ある本で人工知能でも恐怖心を描きだすのは難しいと読んだことがあります。これは恐怖心というものが人間の本能と密接にかかわっているからです。恐怖心は、人間が身の危険を回避するために本能的に有している優れた感覚です。これをすべて否定してしまったら危険を回避する能力を失ったことに等しくなります。

 クレーマー対応にしても同じです。「こわいけど克服しなければ」と力を入れていると転倒しやすいものです。よく言われることですがある分野の達人と言われる人ほど力の抜き方をわかっています。全身に力が入るというのは、慣れていないことの証拠です。

 クレーマーの言動で恐怖心を抱いたら素直に怖がればいいだけのことです。無理に自分の心を鼓舞する必要などどこにもありません。怖ければ「こわいです」といって立ち去ればいい。あるいは脅迫罪などになるかもしれません。

暖簾に腕押しが最強です

 クレーマー対応の極意は、暖簾に腕押し。この一言につきるでしょう。慣れない人ほど丁寧に対応して議論に持ち込みます。クレーマーは、非論理的に話を展開していきます。彼あるいは彼女の目的は、論理的に話すことではなく自分の要求がとおることにつきます。そのために論理的であろうがなかろうが関係ありません。ですからいくら議論を熱心にしてもかみ合わず時間の無駄で終わってしまいます。

 そのため「ですが」「そうは言うものの」など反論をしても意味がないでしょう。相手にはこちらの意見を聞く気がないのですからいくら当方の見解を熱心に伝えてもなにも伝わりません。

 むしろ「そうですか」「そういうご意見ですか」など意味のあるようでない返答でのらりくらりと対応することがクレーマーにとっては最もつらいわけです。なにをいっても伝わっているのか伝わっていないのかわからない。それこそある意味でクレーマー対応の極致です。あるベテランの担当者が「それは大変ですね」のたった一言で興奮したクレーマーを鎮めた話を聞いてさすがだと感嘆しました。こういった対応はむしろ弱気な人の方が上手でしょう。相手と議論するわけではなくやんわりと話に同調するだけだからです。

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