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医療機関のクレーマー対策:「患者だから」というだけですべてが許されたら医療制度は崩壊する

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.10.06

今回のクレーマー対策の本では、医師の方に関わる案件もいくつか掲載してみました。実際のところ医療や福祉の現場では、クレーマーによって頭を抱えている案件が少なくありません。よくあるのが「説明責任を果たせ。納得できない」ということでいつまでも面談などを執拗に求めてくるものです。

もちろん患者として不明な部分や疑義があるところについて医師に対して説明を求めるのは当然のことでしょう。医師としてもしかるべき質問については当然回答しなければ鳴りません。ですが物事には限度というものがあります。医師から自分が納得できるまで説明を求め続けるというのは、本来の説明責任というものからはなれています。これでは結果として自分の要求する回答がでるまで質問し続けることができるということになりかねません。それは「何かを説明する」というものではないです。

「患者だから」というだけですべてが許されていたら医療制度は近いうちに破綻するでしょう。それは社会全体にとって望ましいことではありません。今回の本の根底にあるのもこういった発送です。患者は患者としてのスタンスを、医師は医師としてのスタンスをきちんと理解していくことが医療の発達にもつながるはずです。根拠のない批判をただひたすら医療機関として受けて耐えなければならないというのはあまりにも負担を大きくすることになります。仮に医療機関の対応に問題があるというのであれば司法の場で判断を仰ぐほかないでしょう。

これまで医療機関のクレーマーに対応してきました。そのなかで感じるのは患者そのものではなく家族がクレーマー化することが多いということです。本人として医療機関に対して意見などはないのに家族が「おかしい。医師をだせ」といつまでも同じことを繰り返すパターンです。家族といえども当然に何かを求めることができるわけではありません。ですが「患者の家族」というだけで本人のように振る舞うことが多いから不思議です。

クレーマーは、たいていの場合に感情的になってこちらに意見をしてきます。感情的に言われること慣れていない人(慣れるべきではないでしょうが)は、あわててとにかく落ち着いてもらわなければならない一心で対応することになります。これがかえってクレーマーの要求をさらに苛烈なものにすることになります。

今回の本ではいわゆる医師の応召義務についても触れておきました。応召義務というのは、医師として患者からの診療の拒否を原則として拒否できないというものです。医療という崇高な責任を背負う者としての責任といえるでしょう。ですが応召義務はときに拡大解釈されて医師に過大な心理的な負担を与えることになります。例えば「どれほど問題のある人でもあっても患者であれば対応しなければならない」という誤解などです。医師の応召義務といっても正当な事由があれば診療を拒否できるとされています。明らかに不当な要求をしており信頼関係が喪失している場合には、診療を拒否することについて正当な事由があるといえるでしょう。

医療分野においても悪質なクレーマーには毅然とした対応がなされるべきです。

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