しらけた職場を自力で明るくしていく社長にはコツがあった

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.06.13 (更新日:2019.09.25) 労働問題

「こんにちは~」と会社を訪問すると元気に社員さんから挨拶を受けることもあります。逆に誰も顔をあげずめんどくさそうに対応する社員さんもいます。会社の第一印象で大事ですよね。最初が暗いと「大丈夫かな」と不安になります。「しらけた職場」であっても社長によって自力で変える人もいます。そういう社長には盛りあげるためのコツがあります。

「これしろ」ではなく「これやってみようか」

労働契約では会社として誰かに何かを指示することができます。ですがモチーベンションが低い人にいくら指示をしても「指示したこと」をやってもらうことが精一杯です。しかもなかなかパフォーマンスがあがりません。本人としてもできるだけ少ないエネルギーで処理したいという思いがあるのでしょう。「言われたことは最低限する。だから賃金は支払ってください」というのもひとつの論理です。こういったスタンスで仕事をされると上司としても悩ましいところです。

そもそも人間は指示を受けたとしてもやる気を持つとは限りません。論理ではなく感情で動くもの。何を指示しても「また上司からの~」ということになってしまいます。なにかを自分で達成したという気持ちになれないのでしょう。しかも「誰からの指示」なのかによっても反応が違います。

M&Aとかしていると買収先のモチベーションをあげるのが妙に上手な人っているんです。2年ぶりに行ったらメンバー同じなのにキラキラしてるんです。「おいどした」と思わず言いたくなるくらいに。それほど「誰が」って大事なんでしょうね。

そういう社長ってたいていは「これやってみようか」と協力を求めるフレーズを多用しています。上からと言うよりも横からというイメージですね。「やってみない」と言われると仕事が自分ごとになってきます。同じやるにしても「自分の判断でやっている」ということになる。これがモチベーションのはじまりになります。

とりあえずついてくる人だけ

人心掌握のうまい社長は,たいてい「みんな」を相手にしていません。そもそも社内の全体の雰囲気を一度に変えることなんてできるはずがありません。それを実現しようとすると空回りして「どうしてわかってくれない」と泣きたくなります。「会社をなんとかしたい,でも社員がつきあってくれない」という気持ちになった人はきっといるはず。社長でなくても管理職の人でも同じでしょう。「部下のため」とやっているのにわかってもらえない。つらいですよね。

うまい社長は,みんなではなく「この人」を意識して改革をはじめていきます。社員のなかには社長に協力してくれる人が少ないかもしれないけどいます。全面協力とはいかないけど「そのくらいなら」と協力してくれるかもしれません。そういう人を1名でもいいので見つけたらプロジェクト作って動きだします。人間関係の調整なんてしなくて付き合ってくれる人だけではじめる。この豪腕が意外と効果的です。なんかやっていると周囲としても「自分もした方がいいのかな」という気持ちになるものです。

「みんなついてこい」というのは憧れるかもしれないですがなかなか実現できません。結果的にそうなればいいなというくらいで十分です。むしろみんなの意見を聞いて調整することばかりに時間をとられることが不毛でしょう。

「おいどうした」という関係

人がついてくる社長は,社員との1対1の関係というのを大事にしています。1on1という言葉が広まる前から飲みに行ったり休憩時間に声をかけて雑談をしています。雑談ができる上司は信頼できる上司です。仕事しか声かけられない人はリーダーにはなりにくい。人の悩みを共有できないから。

モチベーションで自分の悩みを共有してもらうと高まります。「この人は話を聞いてくれる」というのが安心感にもなります。「何を相談しても仕事のことばかり」では愛想を尽かされます。人は道具ではないのですから。

なんか顔色が悪いときに「おいどうした」といえる人はすごい。それは日頃から観察しているからこそ言えるのです。興味がなければなにも気がつきません。周囲に対して興味を持つというのは大事なことです。そのためにも普段の仕事のなかでたわいないことを言い合うことが必要です。それが労働事件を防止することにもなります。