経営者にとっての従業員解雇の考え方
- 2017.02.15 (更新日:2019.09.25) 労働問題
感情に流されて,いきなり解雇することだけはやめましょう。
語弊を恐れずに言えば,経営者が従業員を解雇できる自由はほとんどありません。「1カ月分の賃金を支払えば解雇できるんでしょ?」というのは,実は”都市伝説”なのです。
解雇とは,会社が一方的に労働契約を解消することです。取引先から一方的に取引を打ち切られるのと同じように従業員もいきなり賃金を失うことになると大変困るため,解雇することは著しく制限されているのです。
ですから単に成績が悪い,会社の方針に合わない,協調性がないという理由だけでは解雇はできないと思ってください。特に中小企業の経営者は「これは自分の会社だ」という意識が強く,安易に解雇をして痛い目に遭ってしまいます。
不当に解雇した場合には,従業員と争うことになります。弁護士を付けて争うこともあれば,ユニオンに加入して争うこともあります。いずれも基本的な要求は「職場に戻せ」というものです。
裁判になると,大半のケースで会社が不利な立場になります。つまり敗訴して従業員を再度受け入れなければなりません。従業員に退職してもらうためには,会社としてある程度の金銭を支払う必要があるのです。この金額が場合によっては,従業員の賃金1年分以上になるなど,かなりの高額になってしまうのです。
このような事態にならないように,経営者として解雇は絶対に避けるべきでしょう。従業員と話し合い,ある程度の金銭を支払うことも検討しなければなりません。それが会社のリスクを軽減することにもなるからです。
訴訟になると,1年以上も裁判が長引くこともざらにあります。これは誰にとっても不幸です。目指すべきは,できるだけ早く円満に解決することなのです。やむを得ず解雇する場合には,専門家に相談してください。それがあなたと会社を守ることになります。