テレワークが広がるなかでもとめられる3つのスキル

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2020.05.31 労働問題

「知っているけどなかなかじつげんできないよ」と言われてきたテレワークがいきなり広がった。AmazonでWebカメラ補充しようとしたら売り切れ表示続出で「こういう時代なのか」とつくづく感じる。物理的な作業を要する部分以外の業務は,テレワークが主流になっていくのではないだろうか。個人的は,それもありかと。とくに生産性を上げるという点からすれば,移動にともなうコストがなくなるというのは魅力的だ。同時に働き方が大きく変わるなかでは社員に求められるスキルもまた違ってくるのではないだろうか。これからの時代に求められるであろうスキルをちょっと考えてみた。

テレワークのスキル①:プロジェクト間のつながりを把握する

テレワークでは,おそらくプロジェクトベースでの働き方が中心になってくる。働いている人にとっても「自分はこれをいつまでに完成させる」というのが意識の中心になってくるであろう。これまでは何となく曖昧だった「自分の担当業務」というものの輪郭が明確になっていくイメージだ。周囲に人がいないからこそ自分でやるべきところをはっきりさせないとなにをするべきかわからない。これは自分の責任の範囲が明確になることでもある。

ひとつの事業は,複数のプロジェクトから成立している。事業がうまくいくためには,プロジェクトごとの品質もさることながらプロジェクト相互の関係性も大事だ。たとえば製造と営業の関係など。こういったプロジェクト相互の調整は,職場における暗黙の了解で機能していたところも否定できない。なんとなく調整がうまい人がいてなんかしらないけどうまくいったというようなものだ。テレワークでは,こういった「なんとなく」というのはなくなるだろう。そこにひとがいないから。

そのため自分のプロジェクトと他のプロジェクトの連携をとらえる俯瞰力が求められるはずだ。「自分の仕事はここまで。後は知らない」では「なんだあいつは」ということで反発しか生まれない。

テレワークのスキル②:問題の本質を考える

職場では,普段のコミュケーションを通事ならプロジェクトにおける課題や問題点が提示される。たいていは報告をした上司から「これはどうなの」と質問されることで「調べておきます」ということになるだろう。

ビジネスにおいて難しいのは,問題があることがわかったとして具体的にどのような問題設定をするかにある。知性とは,その問題設定のレベルに現れてくる気がする。すばらしい回答は,その前提となる問題設定自体が美しい。これはAIにおける問題解決にも通じる。どれほど立派なAIでも入力される情報がダメであればきちんとした回答がでてこない。いわば前提が回答のレベルを決定するようなものだ。

テレワークでは,これまでのように周囲から質問がされるとは限らない。むしろ自分で問題設定をして解決案を検討する場面が増えてくるだろう。そのときどのような問題を自分に設定するか。そういった問題設定力というものが問われるような気がする。これは弁護士として仕事をしていても感じる。すばらしい質問をされると自分でも想像していなかったような深い考察ができる。

もっとも我々は,「問題を解く」というプロセスを何度も経験しているが「問題を設定する」ということを体系的に学んだことがない。だから問題設定の在り方で悩んでしまう。企業としてもリカレント教育のいっかんとして取り組むべきだ。

テレワークのスキル③:自分の言葉で表現する

テレワークでは,テキストベースかウェブ会議を中心にとして業務が展開する。どれほど高性能の機材を入れてもやはりウェブ会議とリアルな会議は雰囲気も含めて違う。職場であれば,あうんの呼吸というものを感じることができるがオンラインではなかなかそうもいかないため誤解も生まれやすい。

テレワークをしているフリーランスの人に言わせれば,「短い時間で自分の考えを表現できるかどうかが大事」とのことだ。まさにそうだろうと妙に納得できた。テレワークで悩む人の多くは,職場の状況を家庭で再現しようとするからだ。そのためうまくいかずにストレスになる。テレワークは,職場の延長戦ではなく働き方自体のシフト。コミュニケーションの在り方も変えていかないと「こちらの意見が伝わらない」ということになる。

とくに今までのように黙っていても誰かが話を振るというようなことはない。自分の言葉で適切なタイミングに表現できる能力が必要だろう。これはなかなか難しい。「俺が俺が」では「ちょっとうるさいよ」になるし,黙っていたら何も伝わらない。だからこそ対話力というかいいあんばいで自分を表現する力が必要になる。

うまく表現できないけどテレワークってどうしてもなにをやっているのか周囲から見えなくなるわけ。そのため自分で意識して「見える化」していかないと評価の対象にもならない。もちろん見せ方だけ上手で内実ともなわないケースもあるから注意が必要ではあるが。

改めて読み直すとテレワークに限ったものではないな。普通の職場での仕事でも求められるもの。ただテレワークのなかではとくに要するスキルになるんだろう。参考にしてみてくだされ。