ボーナスの渡し方:社員のモチベーションを高めるきっかけづくり

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.12.03 労働問題

この時期になると経営者も社員もそわそわする。そう冬のボーナスの時期だ。社員としては,「いくらでるのだろう」と期待に胸が膨らむ。経営者としては,「結構な負担になるな」と不安になる。まさに期待と不安が錯綜するのが賞与の金額だ。

個人的な経験からしても11月の下旬にもなると「今年の人事評価はどうしようか」といろいろ考えることになる。今でも自分の人生で初めてボーナスを支払った日のことは忘れられない。仕事もないなかで独立していきなり2名のスタッフを抱えた。6月開業だったので12月が最初のボーナスシーズンになった。自分の個人通帳をにらみながら「ここで支払うべきか。でも無理すると自分の首絞めるし」とずっと考えていた。仕事もなく時間ばかりあると悩む時間が十分ありすぎるのでつらかった。それでもなんとかやりくりしながら現在に至る。

経営者としてボーナスを渡す機会をどう考えるか

僕は,ボーナスを含めた賃金をきちんと社員に支払うことこそ経営者の役割と考えている。経営者といってもわずか数名の小さな事務所ではあるが誰かを採用すれば経営者であることに間違いはない。少なくとも僕は,そう自分で考えている。経営者だと考えているからこそやせ我慢をすることもある。社員に少なくとてもなんとか賞与を支払うために朝から晩までせっせと働いているようなものだ。でも僕にとっては,そんな人生で十分だし満足している。ここで働くスタッフがなんとなく幸せを感じて「まぁまぁだった」と感じてもらえればこれに勝る喜びはない。縁あって出会った者同士だからみんな元気にずっと勤務してくれることを望むばかりだ。

ところでボーナス。ただ振り込んで終わりというのもなんとなくもったいない。せっかくの機会なんだからできれば社員のモチベーションを高めるような工夫をしていただきたいところだ。

社員のモチベーションを高めることは,人手不足の著しい現在において経営者の抱える大きな課題のひとつだ。賃金を高くすることや福利厚生を厚くすることは,社員のモチベーションを簡単に高める方法であることに間違いはない。ただ効果が持続するかと言えば必ずしもそうでもない。企業としてもいつまでも天井なく賃金を高めていくことなどできるはずがない。人件費の負担が高くなりすぎて経営になっていない企業もある。

それぞれの従業員に興味を持つことがモチベーションを上げる原点

僕は,社員のモチベーションをあげる方法は評価するべきところを評価し改善の方向性を具体的に示すことに尽きると考えている。あたりまえのことのように聞こえるだろうがあたりまえのことが言葉で具体的に表現されているのか自問していただきたい。

例えば冬の賞与は一律〇ヶ月分というのでは評価でも何でもなくたんなる分配でしかない。それでは自分が評価されているのかどうかもよくわからないだろうしもらえるのが当然という意識になってしまう。評価というのは,行動と結果の両側面から個別になされるべきものである。

①何ができるようになったのか
②どのような成果を実現したのか
③部下の育成はどのようにしているか

最初はこのくらいのざっくりしたものでいい。評価というのは,「あなたを見ている」ということを相手に伝えることだ。人は,自分が注目されていると感じれば頑張ることができるしやりがいも感じる。

ボーナス支給のときの個人面談でのアドバイス

僕は,ボーナスの支給において必ず勤務時間中に個人面談を実施している。これは開業の時から延々やっている。はっきりって目に見えて効果がでているのかはよくわからない。それでもやはり「ここを評価している」と言われると受ける側としては満足感になるようだ。僕の人材育成の基本姿勢は,「強みを伸ばす」というものだからとりあえず良い点を指摘してさらに伸ばすようにアドバイスしている。

こういった長所を伸ばすときのポイントは,長所を伸ばす方向性と組織の成長の方向性をそろえることだ。いくら長所を伸ばしてもパフォーマンスに寄与しなければビジネスにならない。ここの方向性がそろっているのか調整するのはマネージャーとしての責任だろう。やみくもの頑張れとだけ言うのはある意味で無責任だ。

面談時には来年に向けての改善点についても聞くようにしている。ここでいう改善点は,僕自身の改善点である。「こういうことをやってほしい」というニーズをできるだけ聞き入れるようにしている。もちろんすべてが実現するわけではないけれどもできる範囲でかなえるようにしている。すぐにできなければどうやったら実現できるかを協議するようにしている。

せっかくのボーナスの機会。うまく活用していこう。