人手が足りないからと安易に採用したら社員全体が疲弊したという話

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.06.14 (更新日:2019.09.25) 労働問題

組織にとっては,「誰と仕事をするか」がもっとも大事です。だからこそ採用にはとことんこだわる必要があります。でも人手不足が著しい昨今ではなかなかそうもいかず「えいや」で採用することもあります。そういう場合には社員との軋轢がうまれて会社全体が暗い雰囲気になってしまうことがあります。

たったひとりでも組織全体が停滞させることができます

人間どうしのつながりって不思議です。たんなる四則演算では表現できないところがあります。うまくつながれば相乗効果がうまれてきます。ですがたったひとりの社員の行動で周囲全体が沈痛な気持ちになることもあります。メンバーは組織の構成であると同時に組織そのものでもあるわけです。

このブログをご覧になっている方にしても「あるある」と共感する人も少なくないでしょう。大人になるほど他人の問題行為に対してクリティカルに批判しにくくなります。とくに中小企業の場合ではメンバーも少ないため相手の気持ちを害してぎすぎした関係にもしたくないでしょう。「指摘するべきだが自分が標的になりたくない。誰か指摘しろよ」というのが本音のところかもしれません。

問題行為をする社員は,自分が問題行為をしているという自覚がありません。周囲との関係についても意識していません。ですからかえって周囲が関係悪化を恐れて対象となる社員に気を遣うことになります。「こういうことを言っても大丈夫だろうか」「あの人から言われないようにしよう」など。こうなってくると視線が顧客ではなく問題のある社員の方に向いてしだいに業績悪化となるでしょう。

社長の直感はかなりあてになる

組織のパフォーマンスは,構成員の性格などによって決まる部分が大きいです。だからこそ採用にこだわるべきなのに現状は「なんとなく不満だけど人手が足りないから」ということで採用してしまいます。そうするとあとになって「えらいことになった」と慌てることになります。

社長の直感にあわないような採用はしないことです。採用をもっと論理的に展開したいという人は少なくないですがなかなか中小企業では定着しません。いろんなノウハウをまとめても最後は社長の直感ということが多いでしょう。「それでは社長の感覚にあった人しか来ない」という批判もありますが,それでいいのではないでしょうか。中小企業の場合には,無尽蔵に事業があるわけではありません。あえていろんなタイプにこだわる必要性があるとは限りません。

むしろ社長の直感って経営においてものすごく大事です。「感覚による経営」をして利益が上がっているなら最高です。感覚って運ではありません。いろんな経験からうみだされたものでたんに言語化されていないだけです。言語化されていないため再現性は低いかもしれませんが「利益を確保する」という観点からすれば否定するべきものではないでしょう。むしろ感覚が鈍いことが問題です。それって経験値が低いということですから。