助成金の申請に関してわかりやすく解説:コロナウィルスに関する助成金の種類も紹介

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2020.03.10 (更新日:2020.03.12) 経営者の方々へ

新型コロナウィルス対策として続々と助成金が政府から発表されています。はっきりいって日々増えていく印象であって現場としてもついて行くだけで泣きそうです。僕は,もともと助成金についてあまり関わっていません。というのも助成金を利用し始めると「助成金ありきの経営」に陥ってしまうリスクがあるからです。ですが今回のコロナウィルスショックでは,そんなのんきなことを言っているわけにもいきません。そこで現時点で僕が把握している助成金について整理しておきます。詳しい話は必ず専門家に聞いてくださいね。

助成金の申請について解説

経営者であれば,利用したことの有無は別にして助成金という言葉を耳にしたことくらいはあるでしょう。経営の上手な人は,こういった助成金についても「自社でも利用できるものはないか」といろいろ調べて情報を持っています。こういった姿勢は大事。

助成金とは,厚生労働省が管轄する主として雇用に関する支援金です。助成金は,返金が不要という特徴があります。返金が不要だからこそ企業にとって資金調達のひとつになります。

こういった助成金は,支払った金額の一部を事後的に受け取ることができるカタチになっています。ここポイントです。つまり社員へきちんと賃金なりを支払ったあとでもらえるお金ということです。先にもらえるわけではないのです。そんなこと許したら不正が横行しますよ。。

助成金は,キャッシュアウトが先行するということです。ですから「助成金があればなんとかなる」というのは早合点です。企業としては,助成金を考えるときには当面の資金繰りを考えないといけない。ここがポイントです。「助成金がもらえる。よかった」では助成金が入金される前に資金ショートになりましたでは話になりません。

しかも助成金は,申請しないともらえないです。今回のコロナウィルス対策の助成金にしても申請がなければ1円ももらえません。じっとしていたらもらえるお金はないということです。経営者たるもの自分で情報収集して使えるものは使い倒すという貪欲さが求められます。

コロナウィルス対策の助成金に関して

コロナウィルス問題は,今もって収束の兆しが見えない状況です。企業活動停滞から行政はバシバシ助成金を決定します。専門家である社労士の方に聞いても「ついて行くだけで必死だ」ということです。顧問社労士の方がいらっしゃれば,「こういう助成金が使えますよ」と提案もあるかもしれません。ですが「うちには社労士なんていないよ」という企業も多いでしょう。そこで参考になる助成金をあげておきます。あくまで個人的に把握したものなので間違っていたらごめんなさい。

そもそも助成金については,厚生労働省のHPにて随時アップデートされているので必ず確認してください。たぶん情報が多すぎて混乱するので厚生労働省のHPで確認したうえで調べていくのが手っ取り早いです。失礼ですが一番良くないのは不安になって行動ができないことです。「こうしたらどうなる」と悩んでいたらたぶん何もできないです。悩みで問題が解決するなら誰も苦労はしないわけです。やるしかないと覚悟決めましょう。

ここではすでに発表されている代表的な助成金をあげておきます。詳細については,厚生労働省のHPにてご確認ください。

【雇用調整助成金】
雇用調整助成金は,経済上の理由に事業活動が縮小した事業主が労働者に対して一時的に休業,教育訓練又は出向を実施して労働者の雇用を維持した場合に休業手当,賃金等の一部を助成するものです。例えばコロナウィルスで仕事量が減少して運転手の方などに休業を求めた場合などを想定してください。「このまま売上がたたずに社員の維持が難しい」というケースでは,積極的に活用するべきです。雇用調整助成金は,さらに拡大する方向で調整中です。

【新型コロナウイルス感染症に係る小学校休業等対応助成金】
新型コロナウイルス感染症に係る小学校休業等対応助成金は,学校の一斉休業により定められた新しい助成金です。ざっくり説明すれ学校が閉まったことによって保護者として対応する必要がでてきた労働者に対して年次有給休暇とは別に有給(賃金全額支給)の休暇を取得した事業主に助成金をだすものです。基本的に全額を支払いますが1日1人あたり8300円が上限です。イメージとしては,「社長,こども世話をするために休ませてください」と言われて「わかった。給与は支払うから休んでいいよ」としたときに助成金がでるというものです。気をつけないといけないのは,通常の有休を利用した場合には助成金の対象ではないです。ちなみにフリーランスの方にも適用を広げる方向で調整中みたいです。

【時間外労働等改善助成金】
時間外労働等改善助成金とは,テレワークの導入などにおいて企業にて支払われる助成金です。新型コロナウィルスをうけて新たにテレワークを導入しようとする会社や新型コロナウィルス感染症対策として休暇の取得に向けた環境整備(就業規則など)に取り組む会社が対象になってきます。今回のコロナウィルスを受けて企業の働き方自体を変えていかねばならないという会社は利用できるかもしれません。

助成金の申請は社労士さんに相談するべき

「助成金はわかった。ではやってみよう」と思ってもなかなか慣れていないと申請手続などめんどくさいものです。そもそも自社が助成金の対象になっているかすらよくわからないでしょう。とくに新型コロナウィルス対策関連の助成金は,まだ細かいところが煮詰まっていないところも否めません。ですからやはり費用を支払ってでも社労士の方の相談と依頼をすることをお勧めします。

僕は,企業関係の仕事をしていますが自分で助成金の申請をできるかといえばはっきり「できません」と回答しています。「こういうのがありますよ」というのはわかりますが実際に手続きをするとなれば別です。そこはやはり慣れた社労士の方に任せるほかないです。安易に手を広げたら失敗するのがわかっているからこそ自分ではせず紹介だけしています。僕は,こういった専門家の役割分担って大事だと考えています。「なんでもかんでもやります」というのは収益としてはいいのかもしれませんがどうしても特定の分野の深みを追求できません。ですから僕は,「僕が担当するのはここまで。ここからは先生お願いします」と役割分担を明確にしています。士業にとっては役割分担こそ重要というのが信条です。そうすることがクライアントにとってもメリットがあるからです。

社労士の方に依頼するときには,きちんと費用を支払うことが大事です。「こういう状態だから」といって無償でサービスを受けようとする人もいるかもしれない。だがそれは間違っています。サービスというのは無償ではありえません。プロとして仕事をするのですからしかるべき費用をいただくのが当然です。費用をいただくからこそ責任もでます。「無償で仕事をお願いしながら責任も求める」というのはあまりにも失礼な話です。僕は,だいたい「無償でサービスを提供」という話を信じていません。そんなビジネスモデルが維持できるわけもなくサービスの品質に影響してくると考えているからです。これは士業に限ったことではなく福祉などにしても同じです。

そもそも助成金ってやってみないとわからない。申請したけど「だめでした」というのも当然あるわけです。経営ってそういうもんですから。予定通りにいくことのほうがむしろ少ないわけです。この点も抑えておかないと「依頼したのにできないのはおかしい」という無茶な議論になってしまいがちです。

助成金は,企業にとって資金調達のひとつです。返済も不要なので便利です。ですが便利であるがゆえに企業の体力を弱らせるリスクもあることは覚えておいてください。助成金は,事業を存続させ雇用を維持するためのものです。ですが助成金に慣れてしまうと「助成金ありきのビジネスモデル」になってしまうことがあります。つまり助成金をもらうことが目的になってしまうということです。これではもはや助成金の目的を外れています。こういう状態になるともとの正常な状態に戻すのがかなり難しくなります。

「助成金のために就業規則を見直したい」という質問をされる方も「どうなんだろう」と感じます。就業規則って会社と社員のルールなわけですよ。それを助成金のためにというのも。本来であれば「助成金をきっかけに就業規則を見直したい」というのがあるべき姿かと。

最後に助成金を誰かに依頼するときには,怪しい業者ではないかきちんと調べてください。変な業者などに依頼してしまうと気がつかないうちに不正受給に加担していたということになりかねません。やはり顔のわかる社労士の方に依頼することがいいです。社労士の方には,せっかくの機会だから労務全体をみて利用できる助成金がないか調査してもらうのがいいでしょう。

ピンチはチャンスといいます。この機会を組織を変えるチャンスにするかどうかは経営者の意識ひとつです。