自社の価値観と社員の意識の整合性

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.08.16 (更新日:2019.09.25) 労働問題

圧倒的な人手不足。とにかく来てもらればありがたいと願ってもまったく申込がないというのは珍しい話ではありません。「どうなるのでしょう日本」という不安もありますが悩んでいても仕方ありません。できることをやらざるを得ないというのは事業の鉄則でしょう。

実際のところ人手不足などどこ吹く風という会社もあります。事業の規模に関係なく安定した採用に成功しているところもあるわけです。採用が上手な会社と下手な会社の違いは何かと言えば,やはり採用についての明確な戦略の有無に尽きるでしょう。なんとなく他社に合わせて採用をするという姿勢ではまったく人が集まらないのも仕方ないかもしれません。「この会社はどこか違う」と感じれてもらえなければ注目してもらえないからです。

しかも採用に強いところは,きちんと投資もしています。採用は将来の事業の成否を決定づけるものです。だから時間と費用をきちんと投資しなければなりません。ですが経営者は,とかく効果のわかりにくい採用に投資をすることに消極的なときが少なくありません。採用には即効性がないためにどうしても投資に億劫になってしまうのでしょう。結果として投資をした企業に良い人材が流れて行ってしまい「なんで我が社には」ということになります。

採用に強い会社は,採用基準も明確です。「なぜ採用するのか。どのような人を採用するべきなのか」について回答ができます。曖昧なまま採用している会社であれば担当者も即答できません。それではどうしても採用が感覚的なものだけになってミスマッチを誘発しやすくなります。

採用においてなにより大事なのは,自社の価値観との整合性だと言われます。それはそうですよね。批判もあるでしょうが中小企業の場合には,「みんなでがんばろう」的な発想がどうしても根底にあります。大きな方針があるのに「それは僕の価値観に合いませんからちょっと」というのだとモチベーションが下がります。それは労使双方にとっていいことではないです。だからこそ能力よりも価値観の整合性こそ大事なんでしょう。価値観は事後的に修正することもできません。

「価値観の整合性が大事」ということを否定する人はいないでしょう。でも現場でうまくいかないのは自社の価値観がはっきりしていないからです。価値観という言葉は響きとしてはいいですが言葉自体に具体的な意味があるものではないです。価値観といえども人によってイメージする内容はまったく違います。そもそもぼんやりしていて言語化していないレベルのものがおおいです。言語されていないものは基準にもなりません。ですから最初にするべきものは,「自社の価値観とはなんぞや」と考え抜くことです。考えて言葉にすることではじめて合う合わないがわかってきます。