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解雇・退職

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経営者が退職勧奨をする際に注意すべき3つのこと:言い方に要注意

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2020.01.26

経営者から社員に対して退職を提案することは、それ自体違法なものではありません。会社が提案して社員が同意すれば、それは会社都合による退職ということになります。

「退職勧奨」というのは、経営者及び社員の双方にとってナーバスな問題です。ちょっとした対応のミスが感情的な軋轢になってしまうことも珍しくありません。ここでは経営者がやってしまいがちな退職の提案方法について整理しておきましょう。

退職勧奨する際の注意点①:退職ありきの提案や言い方をしてしまう

経営者は、「退職して欲しい」といきなり退職だけ提案することがあります。経営者としては、いろいろ考えてのうえでしょうが社員としてはいきなりの提案で困惑することが当然のことです。今後について複数の提案を提示するなかで選択肢のひとつとして退職を含めるようにしましょう。

退職勧奨のさいには、具体的に会社としてどのような点を問題点にしているかを説明できるようにしましょう。会社としての見解を説明するのは、やはり会社の責任と言えるでしょう。

この説明のさいにたんに口頭で「こういうことがあった」「あのような指導をした」というだけでは説得力がありません。社員からは、「そんな指導を受けたことはありません」と反論されることもあります。言った言わないの議論になるとどうしようもないです。

やっぱり指導書など紙ベースのエビデンスが必要です。「こういう指導をしてきたけどうまくいかないから」と説明しないとなかなか社員としても現実を受け入れることができません。社員としてもいきなり収入源を失うことになりかねないので簡単に「はいわかりました」ということにはなりません。

同時に問題点だけをひたすら列挙しても退職には同意してもらえません。人を動かすのは論理ではなく感情です。きちんと会社として評価するべき点については評価しましょう。多くの場合には、社員の能力と職場がミスマッチしているだけです。職場が変われば能力を活用できるケースもあります。双方にとって前向きなものとして退職勧奨ようにしましょう。

退職勧奨する際の注意点②: 執拗に退職を求めると違法になる

社員にとって「退職するかどうか」は、自身の生活に直結する大きな判断です。経営者にとっても大きな判断でしょうが社員にとってはさらに大きな判断になります。いくら経営者が「退職して欲しい」と考えても社員が拒否すればなかなか問題を解決することはできません。

経営者のなかには、「ここまで職場とこじれたら普通なら自分で退職していく者ではないですか」と質問されることがあります。人間であれば誰しも心理的に安全な場所で仕事をしたいと願うでしょう。誰も人間関係のギクシャクした場所では働きたいとは思わないものです。さりとて社員のなかには、そういった環境でも耐えて勤務される方もいます。それを批判することはできません。社員には、退職できないだけの理由があるものです。経営者の論理だけで事案を見てれば大抵失敗します。

経営者のなかには、「自分が退職を勧めれば社員も断らないだろう」と安易に考えている人います。実際に退職勧奨すると社員から退職に応じてもらえず困惑することになります。困惑だけで終わればいいのですが思うようにいかないことに立腹して執拗に退職を勧めたりすることになりかねません。

あまりに長時間の説得や繰り返される提案については、これが違法な行為として評価されるときがあるので注意が必要です。まして自分の思うように動かないからとして無理強いをすればかえって頑なに拒否され弁護士をつけて残業代やパワハラによる慰謝料などを請求されることもあります。

退職勧奨する際の注意点③: 口頭だけでなく、書面を作成する

退職をしてもらう場合には、同時にいろんな条件も取り決めておくべきです。例えば退職においては、たんに「退職してください」では社員としても納得できません。なにより明日からの生活への不安もあります。そのため退職金の上乗せなどを提案して話をまとめることが多いでしょう。その他にも貸与物及び健康保険証の返還なども必要になってきます。

こういった諸々の条件については、口頭だけで決めているとトラブルの原因になります。とくに会社から退職勧奨する場合には、一般的な自己都合による退職と異なります。双方が緊張した関係にもあるのでなにかと不手際もあります。

例えば社長が「退職金として100万円を支払いましょう」と伝えたとしましょう。このとき社長としては、当然100万円から源泉徴収された金額を振り込むことと考えています。ですが社員は、源泉徴収などよく理解していないかもしれません。そもそも退職金など人生で何度ももらうものではないのでわからないのもしかたありません。ですから実際に源泉徴収後の振込金額を見て「話が違う」ということでトラブルになることもあります。こういうトラブルを避けるためには書面で100万円から源泉徴収した金額を振り込むことなどをはっきりさせておくべきです。

少なくとも次の点は明確にしておきましょう。

①退職日
②退職金(源泉徴収後の金額も明示)
③物品の返還など退職手続きへの協力
④知りえた情報の口外禁止

書面を作成するさいには事前に弁護士のチェックをもらっておくべきです。事後的に修正することは容易ではありません。

この3つのミスはよくあります。ミスをするとさらに問題を複雑にしますのでくれぐれも注意してください。

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