【読書感想】「不連続な変化の時代」を生き抜く リーダーの「挫折力」

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2021.06.25 (更新日:2021.08.26) 読書感想

小さな法律事務所ではあるが社員の生活を支えている者としては,「リーダーとはいかにあるべきか」について24時間365日考えて続けています。社員からすれば,「考えているのか」と疑問視されるかも知れないけれども。そんなわけでリーダーシップに関する本は,手に取って考えるきっかけにすることが多いです。「不連続な変化の時代」を生き抜く リーダーの「挫折力」もこれからのリーダーシップの在り方を考えるヒントになるはずと考えて手に取ってみました。

本書の内容は,タイトルにすべて集約されています。高度成長期においては,明日は今日よりも「いい日」というイメージを作りやすかったわけです。少なくともGDPの成長を見れば期待を抱けました。それが失われた30年を経た現状においては,明日が今日よりもいいということを描くのが正直難しくなりました。格差や賃金低下などがとりだたされて資本論の解釈本がビジネスパーソンにおいて売れる時代です。みんなどこかで感じてるわけです「資本主義ってこのままで大丈夫なの」と。著者の指摘は,こういう流動性の高い時代だからこそ「挫折する」という経験が必要ということです。

この内容には全面的に賛同。自分で経営をしている人であれば,「それだよな」としみじみ痛感するはずです。そもそも成功と失敗というのはコインの表裏ではありません。ものすごい失敗があってわずかの成功があるというのが事実でしょう。つまり「成功するなんて簡単ではない」ということです。それにもかかわらず「こうすれば成功する」と煽られてみんな疲弊しているのが現状のように感じます。

僕は,社員の採用時において成功談を聞くようなことはまずないです。聞いても「そうなの」で終わるものです。だってたんなる自己申告の話でしょう。いくら「自分がやりきった」と言ってもたいていはチームメンバーのひとりだったというのがオチです。それに過去の成功は事務所での仕事への適性を何も担保しません。むしろ可能な範囲で失敗談を聞くようにしています。狙いとしては,本書でも触れていますが失敗から回復力の有無です。これはチームビルディングを考えるうえでも不可欠。

まじめに仕事をしていれば必ず失敗にでくわすわけです。そのとき誰しも落ち込みます。真剣にすればするほど落ち込むものです。それでもなんとか回復してもらわなければ仕事になりません。いつまでも落ち込んでもらっては困るわけです。人は,失敗ではなく失敗から回復する過程で何かを学びます。この回復期というのは想像されるより重要。この部分のフォローをきちんとするのがリーダーシップでは大事です。

日本では挫折≒成功から脱落みたない雰囲気があって嫌です。そういう事務所にはしたくないですね。いろいろ挑戦すればするほど挫折する。挫折というのは挑戦のための布石みたいなものです。これは自分が経験したからこそよくわかります。深く挫折した人の方が人間的魅力にあふれている。僕は,そういった人間的魅力を採用の基準にしていきたいですね。