あなたが最後にレストランでクリームシチューを頼んだのはいつですか

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.11.18 (更新日:2019.11.19) 経営者の方々へ

物事を考えるとは,どのような問題を設定するかと同じことです。いい問題設定ができれば問題解決のヒントを手にすることができます。僕らは,普段の生活のなかで「問題を解く」ということは意識しますが「問題を設定する」ということをあまり意識していません。ですから難しい課題を目にするとなにから手を付けたらわからず茫然としてしまいます。こういうときには問題の設定ができていないのです。

僕らは,自分が考えているよりもずっと「わかったような気になって」暮らしています。だから「チコちゃんに叱られる」といった番組で身近なものについて説明をされると「なるほど」と納得してすっきりした快感を味わうことになります。わかるというのは,カルタシスのようなものですね。

僕も何かを伝えるときには,できるだけ身近な題材をベースに質問をするようにしています。

先日ある人から飲食店についての経営についての質問をされました。たんに答えを言っても面白くないので彼が好物というクリームシチューを題材にしてみました。経営とクリームシチュー。一見するとまったく関係のない両者をどうやってつなげていくか。

ここで問題。みなさんクリームシチューは食べたことがありますね。(牛乳がダメでもCMは見たことがあるでしょ)寒い日に家庭で具材がゴロゴロしたシチューを目にするのは幸せな時間です。CMにしても雪の積もった家のなかで暖炉の横で家族が笑顔で集う。(そんな家庭が日本に実在するのかは疑問だが)

でもみなさんが自宅ではなくレストランでクリームシチューを最後に頼んだのはいったいいつでしょう。あの具材ゴロゴロのシチューを外で食べた記憶です。

たぶん「あれっ,そういえば記憶にない」となりませんか。レストランでシチューといえば,圧倒的に多いのがビーフシチュー。クリームシチューがメニューで掲載されているのは圧倒的に少ないです。仮に食べても何かのパーティのコースのひとつで「鶏肉のクリーム煮」ではないでしょうか。そこで謎が深まるわけです。どうしてクリームシチューがないの?

こういうことが問題を設定するということです。クリームシチューがレストランであまり見かけないというのは事実として誰しも経験しています。ですが誰も「なぜ」という疑問をもたない。「あたりまえ」とすら意識していないからこそわからないのでしょう。だからこそ目の前にある「あたりまえ」のものをよく観察してみると新たな発見があります。

例えばなぜクリームシチューが少ないのかを経営の視点からちょっと考えてみましょう。

まずなによりも牛乳は日持ちしない。飲食店にとっては日持ちしない食材はコスト高になってしまいます。売れなかったら終わりなわけで。古い牛乳をだして問題になったら大変です。関連して家庭のようにゴロゴロの食材にしていたらこれまたコストが高すぎる。特に野菜はマーケットの影響を受けやすいので野菜の分量増やすほどに利益は減ってしまいます。そのうえ野菜を煮立ててしまうとクタクタになるので翌日の商品としてもなかなか提供しにくいでしょう。家庭じゃないんだから。。。

しかもビーフシチューのベースであるデミグラスソースなどは,他の料理にも利用できます。食品としてのロスを少なくすることができます。レストランで利益をだすには「おいしいだけ」ではうまくいきません。「おいしくてもからない」とだめなんです。

このように考えるとビーフシチューの方がレストランの経営として成り立ちやすいというのがおわかりでしょう。ちなみにここで書いたのは僕がいろんな物を読んだり考えたことからの推測であって事実として正解なのかはわかりません。でも大事なのはあたりまえのことから問題をうみだして考えてみることです。

明日の夕食で「これはどうなんだ」とちょっと考えてみてくださいな。