マーケティングにおける著作権の考え方2

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.06.18 (更新日:2019.09.25) 経営者の方々へ

「著作権」という言葉は誰しも耳にしたことはあるでしょう。「作品とかの作者がもっている権利でしょ」というぼんやりしたイメージはあってもなかなか踏み込んで学ぶ機会も少ないです。なんとなく対応していたら著作権を侵害していた!ということになりかねません。経営者なら最低限の知識は持っておきましょう。

着地点は文化の発展を実現すること

あらゆる法律は,対立するふたつの価値観のバランスをとるものです。これは著作権でも同じです。ざっくりいえば「自分の生みだした作品を独占的に活用したいというという価値観」と「誰かが作りだした作品を利用したいという価値観」の対立のバランスをとるものです。そのバランスをとりながら最終的な文化の発展を実現していこうとするものです。

誰しも「自分で作ったのだから自分のコントロールのもとにおきたい」というニーズはあります。かってに自分の作品について他の人が「自分がつくりました」といえば頭にくるでしょう。ですがなんでもかんでも完全にコントロールできるとなると他の人が自由に利用できなくなります。はっきりいって文化の発展って多くが何かの模倣からはじまっています。学びはまねるともいいます。ですからなんでもかんでも「自分の物だから」と言われるとなんとも暮らしにくい社会になるわけです。そこで著作権法は,「著作権」と「著作権の例外」を定めてバランスをとっています。この原則と例外というのがキモになります。

それって著作物なの

著作権の仕組みは,「著作物」を前提にしています。著作物を作った人を著作者といいます。著作者の権利には,①著作権と②著作人格権というものがあります。ここではとりあえずこういう権利があるとイメージしてもらればいいです。

ここで大事なのは,著作権が保護されるのはあくまで「著作物」ということです。せっかくなにかを思いついても「著作物ではない」となるとせっかくのあなたの努力は保護されないリスクが高いというわけです。なにが著作物に該当するかはまたの機会に説明していきましょう。

著作物を無断で利用すれば,著作権侵害という指摘を受ける可能性があります。逆に言えば著作物でんかえれば利用しても著作権侵害にはなりません。著作物であるかどうかは決定的な意味を持っています。

こういった著作物を著作者の同意なく利用する方法のひとつとしては,「引用」という方法があります。みなさんも文献などで引用をみたことはあるでしょう。あらゆる場合にすべての著作者の同意が必要となると現実的に無理なこともあります。そこで著作者の同意なくして利用できる範囲として引用が認められているわけです。引用は著作権法で認められた無断の利用方法です。ですから「無断引用」という言葉はおかしな言葉です。引用という言葉には,そもそも無断という意味が含まれているからです。

こういった引用はよく誤解されています。資料などを配付したりネットに記事を書くときにはきちんと引用のルールを抑えておきましょう。

引用するときはどこに注意するの

無断利用として許される引用と認められるには,①公表された著作物であること②明確に区別できること③主従関係があること④出所が明示されていること及び⑤引用する側も著作物であることが必要とされています。

細かいところは省略しますがとくにポイントになるのが②明確に区別できることと③主従関係があることです。裁判では,この部分が争いになることが多いです。例えば「どこまでが主従関係なのか」と言われてもなかなかわからないところがあります。明確な基準が作りにくいために「引用なのかどうか」が争われることになってしまいます。少なくとも一見してオリジナルな部分が少なくて他の著作物の部分が多いような場合には,主従関係がなく引用にはならないでしょう。これについて事前に弁護士に意見を聞いておいた方がクリエーターの人にとっては安心です。