中小企業の副業は現実的にハードル高すぎるという話

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2020.08.29 経営者の方々へ

気がつけば「副業をしましょう」という話しを目にすることがずいぶん増えてきました。「長時間労働を抑制しましょう」という声と真逆のベクトルなようなものでなんとなく違和感覚える人は少なくないでしょう。僕も同じです。場合によっては「収入不足のために仕方なく」という人もいらっしゃるでしょうから副業自体が問題と言いたいわけではありません。そういう方にしてもできれば副業は避けたいと考えているのではないでしょうか。

もともと日本の雇用ベースは終身雇用というものでした。ある会社に入社すれば長期的に就労して自分のスキルとポジションを磨いていく。それが結果として組織全体のパフォーマンス向上につながるというものです。この素朴かつシンプルな仕組みで日本の経済発展がなされてきたというのは事実でしょう。もっともこういった日本的慣行が大きく変化しているのも事実です。転職にしても珍しいものではありません。終身雇用にしても「当然の前提」というものではなくなりつつあります。

「それなら副業もいける」というのはあまりにも拙速な考え方ではないでしょうか。企業のなかには,「副業を通じてさまざまな人脈やスキルを磨いて欲しい」と副業に積極的なところもあります。ですがたいていは人員に恵まれた大企業の論理です。中小企業の場合には,ただでさえ人手不足なわけで副業でさらにリソースが減らされるのは避けたいところです。「復業するなら本業をもっと頑張って欲しい」というのがリアルな社長の声だと思います。個人的には中小企業にて副業をするのは相当に難しい気がします。その理由について整理してみました。

そもそも体力がもつものだろうか

労働は,基本的に拘束時間というものがあります。一般的には一日8時間が多いでしょう。長時間労働が肉体的・精神的な負担になることは広く知られています。働き方改革においても長時間労働の抑制が大きな旗印になっています。

そこで副業。8時間近く働いたうえにさらに別の場所で働くというのはいくら体力に自信があっても簡単なことではありません。そもそも本業で「働き過ぎには気をつけて」と配慮していても本人が別のラインで過労になれば意味がありません。

自宅でできるようなデスクワークの活動であればまだわかります。でも現実に地方で副業として求められるのは,飲食店の店員や工場の管理といった肉体的な負担をともなうものだと思います。そうなると疲労は絶対にたまる。怖いのは疲れた自分に気がつかない状況になることです。いったんこういう状況になるともとの状態に戻るのが相当難しくなります。

副業で収入が上がるのだろうか

副業をすればもちろんインカムが二口になるので短期的な収入の増加になるでしょう。当面の生活費に必要というのであれば副業をせざるを得ないというきもあるはずです。

ですが冷静に考えて長期的な収入になるとは考えにくいです。

僕の周りにも副業をした人がいますが辞めている人も相当います。結局のところ疲労がたまって維持できないのです。これでは本業も副業も十分にチカラをだすことができずに全体としての収入が目減りするリスクがあります。

副業って新規事業に手を広げるようなものでリスクが高いのです。コストだけかけて収入にはならなかったということも当然想定されます。パフォーマンスとしては,本業に集約して上を目指した方がいいと個人的には考えています。そもそも本業で十分なパフォーマンスをだせない状況で副業でだせるという可能性は低いでしょう。「本業がつまらないから」という軽い気持ちで副業をし始めるとかえって自分の負担ばかり増えることになってしまいかねません。