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解雇・退職

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入社日から3ヶ月のフォローこそ長期的雇用に影響してくる

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2021.04.09

4月から新入社員を迎える企業は多いでしょう。コロナで入社式を控えていた企業も「そろりそろり」と入社式を開催しているところもあるようです。若手社員に聞くとやはり入社からいきなりずっとオンラインというのはなかなかモチベーションを維持するのが厳しいみたいです。やはり同期や先輩に「会う」というのは就職においても大事なプロセスなのでしょう。言語化された情報であればオンラインでもおそらく提供可能です。ですが言語化されていない情報というのはやはり職場にあるものです。それが共有できていないとどうしても「一体感」というものがうまれにくいのでしょう。

企業の顧問をしていると入社から3ヶ月以内に辞表をだしてくるケースが多いです。経営者としては、「そんな短期間で仕事の醍醐味なんてわかるはずがない」という気持ちににもなるようですが不満を言っても仕方ありません。社員には社員の言い分といったものがあります。それを無視して会社の論理をかかげても意味がありません。むしろトラブルが複雑化するばかりです。企業としてどのような対応をしていくべきかについて整理しておきます。

若手社員の場合には本人よりも親が会社に不満を述べてくる

新入社員の特徴としては本人よりも親御さんが会社の待遇に対して不満を述べてくることが圧倒的に多いです。よくあるのが本人といきなり連絡が取れなくなり一方的に両親が窓口になってしまうようなケースです。経営者としては、「もう大人なんだから」と言いたくもなるかもしれません。ですが親にとってはやはりかわいい自分の子です。上司から不当に叱責されれば心穏やかというわけにはいかないでしょう。ある意味では自分が叱責されるよりも感情的になるかもしれません。とくに新卒の場合には、まだ社会人としての経験もありません。「このままでは自分の子が会社に好きに利用されるだけになる」という不安もわきおこってきます。結果として親として子どもの代理人として積極的に会社に申し立てをすることになります。

脱線しますが感情的になった両親に対して「落ち着いてください。これはお子さんの問題であって」と説得してもたいていうまくいきません。両親としては、会社が子ども自身の問題として扱うこと自体が許せないというところがあります。法律的に冷静に考えれば両親だからといって当然に成人した子の代理人になるわけではありません。ですが家族というのは、法律だけで語ることができるような単純なものではないでしょう。否定するほどに「やはり会社の態度はひどい」となって子の意見を一方的に真実のように誤解してしまいます。

こういうときに電話や面談を繰り返すことが適切な対応とは言えません。どうしても感情的な側面がでてしまい議論が前後してしまい問題解決に向けた方向性が見いだしにくいからです。家族から感情的な申入などがなされた場合には、書面によって要求内容を提出してもらうようにした方がいいです。人は「書面」となると少し冷静になるものです。どうしても自分の主張が記録として保存されることになるからです。もちろん書面の提出を求めても一方的な不満だけを書き連ねていることも珍しくありません。こういうときには、「御意見はわかりました。御希望の内容を具体的に書面にて改めて御教示ください」として具体的な要望を聞きだすようにしたほうがいいです。そうしないといつまでも感情的なやりとりを続けるだけになり労使双方にとっていいことではないでしょう。

もっとも多い相談は「上司の態度がひどい」というパワハラに関するもの

採用直後のトラブルとして圧倒的に多いのは、上司からのパワハラに関するものです。実際に話を聞くと「これはパワハラになるのだろうか」というものでも「これはパワハラだ」と主張されてしまうことが珍しくありません。パワハラと言われた上司は、「自分としては期待して指導しただけなのに」ということで落ち込んでモチベーションも下がるときがあります。こういった認識の相違が生じてしまう理由のひとつには、学校と職場という環境の相違も影響してくると考えています。新卒者のなかには、学校の延長線上に職場を位置付けていると考えられる人もいます。あたりまえですが学校と職場ではまったく環境が違います。その前提がないために「それは違っている」と一方的に批判されるとパワハラだと感じるのかもしれません。(もちろんパワハラを容認している趣旨ではないのでご留意を)

たいていのケースでは、教える側に悪意はないです。むしろ自分が過去に教わった方法に基づいて教えたらパワハラと批判されたというケースが多いです。日本の中小企業では、いまだに「教える」というプロセスを体系化しているところが少ないでしょう。最近でこそ教えることの重要性が語られることが増えてきましたが具体的なノウハウに昇華されているかといえばまだまだ消化不良といったところです。つまるところ教え方がわからないために無手勝流に頼ってしまい上司と部下の軋轢になってしまうのです。その意味では教えることを教えていない企業にこそ問題の本質があると考えます。上司に対して「パワハラに注意して指導して」というだけではなにも問題を解決していません。ですから企業としては、自社における教え方について時間を割いていちど整理するべきでしょう。

あと大事なのは採用してから3ヶ月以内のフォローです。この期間に新人が「この人であれば何でも相談できる」と感じられる人がいると定着率がかなり違ってくる印象です。新人は、経営者が考えるよりもずっと孤独です。とくに中小企業の場合には、同期と言っても数名程度というのが一般的でしょうからいっそう孤独になりがちです。経営者としては、声かけなど注意するかも知れませんが経営者にも相談しにくいことってやはりあります。ですから新人から2年くらい先輩の人を相談係として担当していただくとなにかとトラブルを避けてくれます。もちろん相談係との相性という問題もあるので担当者のセレクションには注意が必要です。あえて若手を相談係として配置するのは、価値観の共有がしやすいからです。スキルが高い年配の人はどうしても自分の経験を語ってしまいます。そうすると新人も自分との圧倒的な相違を目にして相談もしにくくなります。これが同じ年くらいの人であれば悩みの共有もできやすいです。

「うまく育って欲しい」というだけでは誰も育ちません。育てるために何をするべきか。それをぜひ検討されてみてください。

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