お気に入りの写真をSNSへ。それって著作権侵害になるでしょうか

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2021.06.21 (更新日:2021.08.27) マーケティング法務

今回も「どういうときに著作権者の同意なくして利用できるか」について整理しておきます。今回のテーマは,写り込みについてです。まずは条文をご覧ください。

第三十条の二 写真の撮影、録音、録画、放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し、又は複製を伴うことなく伝達する行為(以下この項において「複製伝達行為」という。)を行うに当たつて、その対象とする事物又は音(以下この項において「複製伝達対象事物等」という。)に付随して対象となる事物又は音(複製伝達対象事物等の一部を構成するものとして対象となる事物又は音を含む。以下この項において「付随対象事物等」という。)に係る著作物(当該複製伝達行為により作成され、又は伝達されるもの(以下この条において「作成伝達物」という。)のうち当該著作物の占める割合、当該作成伝達物における当該著作物の再製の精度その他の要素に照らし当該作成伝達物において当該著作物が軽微な構成部分となる場合における当該著作物に限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該付随対象著作物の利用により利益を得る目的の有無、当該付随対象事物等の当該複製伝達対象事物等からの分離の困難性の程度、当該作成伝達物において当該付随対象著作物が果たす役割その他の要素に照らし正当な範囲内において、当該複製伝達行為に伴つて、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

この時代では誰しもがスマホで簡単に写真や動画を撮影することができます。それにもかかわらずわずかでも著作物が写り込んでしまう場合にでも著作権侵害となってしまえば自由に撮影することもできません。少なくとも「これって大丈夫なの」と不安になるでしょう。例えばお気に入りのキャラクターのぬいぐるみを手にした子どもの写真を撮影したとしましょう。形式的にはキャラクターの複製を作成したということになりかねません。でもなんだか違和感がありますね。「それくらいいいでしょ」という気持ちが大半の人が抱く印象でしょう。そこで規定されたのが写り込みというものです。主たる対象が別にあって付随的なものが写り込んだときには,著作権侵害にはならないというものです。仮に写り込みにより著作権が侵害されたとしても通常軽微な程度であるはずという発想が前提にあります。むしろすべての著作物がいっさい写り込んではダメとなったら撮影できる場面があまりにも制限されます。背景にもキャラクターなどが写り込んではいけなくなりますし。。ここでのポイントは,付随的なものでなければならないということです。キャラクターなどをメインに撮影しているようなケースでは,それが著作権侵害になります。例えば飲食店で雰囲気作りのためにBGMを流せば「音楽を流すこと」が主たる目的になりますので著作権侵害になります。こういった写り込みは,たんに写真だけで問題になるわけではありません。スマホのスクリーンショットを撮影したときに別のアプリが写り込んでしまうことがあります。他にも動画の配信においても問題になります。たまたま背景にキャラクターが写り込んだ場合などです。

いずれにしても「主従」という関係性は一瞥してわかるようにしておくべきです。なんでもかんでも「写り込みだからOK」というほど話は簡単ではないわけです。