うつ病で社員が休職中。その後はどうなる?

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2017.03.23 メンタルヘルス

 うつ病は,誰しもかかる可能性がある病気です。とくに長時間労働によるうつ病は,労災として認定されることがあります。社長は,社員のメンタルヘルスに注意しながら職場環境を構築する必要があります。また社員がうつ病などになったときには最大限のサポートをするべきでしょう。社員がうつ病で休職したときの要点について整理しておきましょう。

休職期間とはなにか

 うつ病になった社員への対応は,それが労災認定されたかどうかによってまず大きく異なります。労災認定となれば,うつ病が業務に関して生じたことになり会社の責任も重くなります。

 ですがメンタルヘルスというのは,その原因を特定することが容易ではありません。業務上の負担と家庭の事情が重なって精神的な負担になることもあるでしょう。あるいはもともと性格が優しくて人並みよりも精神的な負担を抱えやすい傾向の人もいます。ですから労災申請をしたとしてもなかなか労災認定されないが実情です。個人的な印象としてうつ病などが労災認定されるのは,3割強くらいでしょう。

 実際のところは労災に認定されずにうつ病というケースが圧倒的に多いでしょう。こういう場合には,一般的に休職という扱いになります。休職期間とは,業務と関係なく病気やけがになったときに会社が労働義務を免除する期間です。簡単にいえば私的な治療のために休める期間です。

 休職期間は,会社によって内容が違っています。一般的な中小企業の場合には,3カ月から半年で設定しているところが多い印象を受けます。「休職期間中は無給」という取り扱いが多いです。この場合には健康保険に傷病手当を申請することになります。そうしないと生活できませんから。

 傷病手当をもらいながらうつ病の治療をするのが一般的でしょう。

休職期間満了でも治癒しないとき

 問題は,休職期間を使い切ったけどうつ病が治癒しなかったときです。骨折などは外形から改善の状況や時期をある程度判断することができます。ですがうつ病の場合には外形から判断することがよういではないです。しかもいったん治癒しても再発することもあります。そうなるとうつ病の治療が長期化して休職期間満了ということもあります。

 就業規則では,通常「自然退職」という定めがあります。これは休職期間満了までに復職できなければ退職とみなすというものです。こういった規定は,判例も有効とされています。

 ただなんでもかんでも退職が有効というわけではありません。例えば精神疾患の原因が会社にあるとされる場合には,退職扱いにすることは無効という判断がされるときがあります。「就業規則に書いてあるから大丈夫」というわけではないのです。

 退職扱いにするときには,事前に弁護士の意見を聞いておくことをお勧めします。

休職期間中にパチンコなどに行けるのか

 ときに「うつ病で休職している者がパチンコにいた」と興奮して相談に来る人もいます。休職期間中は労働の義務が免除されていますからパチンコなど遊興に興じたからといって当然に批判の対象になりません。ですから安易に休職期間中の行為に指摘するのは避けるべきでしょう。

 そのほかにも休職期間中も社会保険料の負担は当然に発生します。社員のなかには「無給だから社会保険もゼロ」と誤解している人がいます。事後的に会社が回収しようとすると「納得いかない」と根拠なく反発されるケースも珍しくありません。社員は,社会保険料などを源泉徴収されているため「自分の負担」という意識が希薄です。休職期間に入る前の段階で「こういった社会保険料の負担はあるから」と書面で説明しておくことが事後的なトラブルを防止するうえで必要です。