事務所のベースになったK会長からの教え

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2020.06.01 その他

人生における出会いというのは本当に貴重なものだ。とある出会いが将来の自分を変えていくことも珍しくない。今の僕にしてもこれまでの出会いの集積という意味もある。自分というのは実際にはたくさんの人の集まりのうえに築き上げられていくのであろう。ビジネスにおいてもロールモデルという言葉を耳にすることがある。簡単にいえば「自分が目標とする方」のことである。僕もいろんな目標となる方と出会い自分のライフスタイルを模索しつつ作り上げてきた。様々な方に支えていただきながら今に至る。まさにすべての出会いに感謝だ。そのなかでもとくに僕が自分の事務所経営という観点から影響を受けのはK会長との出会いだろう。

前にも書いたかもしれないが僕はなにもない状況で独立して事務所をはじめた。正直なところ「これって大丈夫なのか」という不安が8割くらいあったが自分で経営がしたいという意識が強かったので若さゆえに勢いではじめた。改めて感じるのは勢いってすごい。どんな不安も隠してしまう。苦笑 まったく通帳に残高のない状況からだったので今だったら絶対に阻止させている。でもいろいろ経験して物事が見えるようになったがゆえに挑戦すること忘れることもありますな。それができるのが若さの偉大さかもしれない。

K会長との出会いも本当に偶然。開業して間もない段階から公私ともにサポートしていただいている。スタンも含めて感謝の言葉しかない。スタッフも僕がK会長に頭が上がらないことをよく理解しているので「そんなこと言いますか。会長に伝えますよ」と。。それほど事務所全体を長年にわたって支えていただいている。では具体的に何を教わったかと質問されたらおそらく明確に回答することはできない。なんというか言葉で表現できるようなものではないのだ。おそらく経営の知識などであれば本を読めば誰でも理解して自分で利用することができる。でも本当に大事なこと,それは経験に裏打ちされたものは,なかなか言葉で表現できるものではない。言葉で表現できるものではないからこそ価値がある。僕の場合には,「なんだかうまくいかない」というときにはK会長のもとを伺うことがある。具体的に何かを質問するということはあまりない。むしろ何気ない話のなかで「そうか」とふと気がつくことがある。こういったじわじわわかるという経験こそ「わかる」ということだと思う。

だから事務所の基本的なスピリットなどはK会長の考え方などがベースになっている。典型的なものをいくつかご紹介。

まずもって大事なのは,「なにより人に優しく」ということだ。おそらくなんども教わった。ビジネスというのは,あたりまえだが収益を確保しないといけない。でも収益が目的化すると周囲の人がまるで設備のように見えてくる。それではいつか会社が暴走することになる。僕らは,幸せになりたいと考えて日々暮らしている。だからこそ人に優しくならないといけない。人を慈しまないといけない。それはなかなかできないことだけども少なくとも意識しないとうまくいかない。僕もまだまだできれないがひとつの心のベクトルとは思っている。とくに法律事務所はみんな傷ついてやってくる。だからこそ「大丈夫ですか」と寄り添うことが必要だ。

次に大事なのは元気。人は誰しも落ち込むことがある。ビジネスであれば,なおさら思うように展開せずに天を仰ぎなくなるようなときもある。今回のコロナ禍でも同じ。大変なときには「どうしたらいいのか」と気持ちも滅入ってしまうものだ。でもトップが落ち込むと組織の全体が落ち込む。これはさらに状況を悪化させる。だからこそトップは,いつも笑顔で元気を振り巻く存在でなければならないと教わった。それは本当にそうだとつくづく感じる。いかなるときも笑顔を維持するというのは言葉言うほど簡単ではない。自分の感情を押し殺してでも笑顔を作らないといけないときもある。それがトップになるということなんだろう。

最後に感謝。人間のコミュニケーションの在り方の根底は感謝だと思う。これは交渉をしていても同じ。K会長と話をさせていただくといろんなことに感謝されていらっしゃる。感謝ができるというのは,それほど経験を積んでこられたことに自信がおありだからだ。いろんな人を目にして思うのが自信がない人に限って自分の能力を過剰に評価して他者に対する感謝を見失っている。僕もそうだった。「自分のスキルでできる」といううぬぼれで他人に迷惑をかけたこともある。僕は,反省してできるだけ感謝を伝えるようにしている。開業した頃から手紙(ときに象形文字と絶賛される。たまにスタッフに「これなんて書いてあるの」と電話がかかることについては見なかったことにしている)は書き連ねるようにしている。病気で誰かが倒れたら忙しくても顔を見せるようにしている。意見があわないひとでも分かれるさいには「ありがとうございました」と礼を言うようにしている。

こうやって書いてみると教わったことはある意味では「あたりまえこと」なのかもしれない。でも凡事徹底という言葉にあるようにあたりまえのことができないからこそみんな悩み苦労している。これからも「あたりまえのこと」を磨いて小さくていいので自分なりの事務所を追求していきたい。