新型コロナウィルスによる経営者のリアルな悩みと対応策

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2020.02.29 (更新日:2020.03.12) その他

新型コロナウィルスで日本中に緊張感が広がっています。感染による直接的な影響のみならずイベントのキャンセルなど間接的な影響も広がっています。正直なところ1か月前の段階でこのような状況になるとは想像していませんでした。僕自身もセミナーの中止などの手配にバタバタしています。イベントは開催するのも大変ですが中止するのも大変なんです。これは当事者でなければわからない。

この数日において複数の経営者から新型コロナウィルスによる事業影響の相談を受けました。すでに中小企業にも多大な影響が出始めている印象があります。現実的な問題になるのはもう少し後かもしれませんがなにより準備です。実際のところ経営者がなにに悩んでいるのかをまず整理しておきましょう。

新型コロナウィルスの経営者の悩み①人が来ないため売上が上がらない

今回の出来事でダイレクトに影響を受けているのは,インバウンド向けの事業を展開している企業です。業種的には観光業や付随する飲食業などでしょう。これはもうすでにいろんな場所で不安な声を耳にしています。

「今月の売上はゼロかもしれない」という声もリアルに耳にします。すでに数千万円の影響を受けてしまった企業もあるようです。売上が減少したというレベルではなくて売上がない。こういう事態って誰も想定しないのです。たいていの場合には少しずつ売り上げが減少してきて「これはどうしたらいいのか」と悩む時間があります。ですが今回の関してはいきなりです。ですから何をどうしたらいいのかわからずに天を仰いでしまうことになります。

インバウンド向けの事業は,どうしても多数の観光客を一気に扱うことが多いです。いきなり何百人ベースでのキャンセルが発生することになります。しかも影響を受ける地域も特定されません。感染がなくなる時期についても見通しがついていないのが現実です。

厚生労働省が28日に発表した1月の有効求人倍率は1.49倍で大幅低下になっています。「人手がいない」と言われつつ求人倍率は減少してしまいました。背景には製造業の生産低迷があるとしてきされています。このような状においてさらに新型コロナウィルスで需要が低下するのはまさにWパンチです。

ある経営者が「今回の場合には,そもそも人が来ない。これでは手の打ちようがない」と言っておられましたがまさに。

こういった話は建築関係からもよく耳にします。物流が止まってしまったことにより建築資材が用意できず工事が進まないというものです。工事が進まなくなれば,予定していた将来の工事も遅くなります。人手を集めるにしてもただでさえ人手不足なわけでなかなか現場の補充をしてまかなうわけにもいきません。


新型コロナウィルスの経営者の悩み②企画したイベントを費用をかけて中止しなければならない

春は企業にとってイベントのシーズンです。とくに大型連休が近づくといわゆる行楽シーズンですからイベントを打って集客をするというのは経営の定石でしょう。

ですがご存知ようにあらゆるイベントや会議がのきなみキャンセルとなっています。行政からの意向もあるので仕方なくキャンセルという選択を採用したところもあるでしょう。

参加を予定していた人にとっては「参加できなくて残念」かもしれません。ですが主催者していた企業にとっては「残念」で終わらせることができない経済的負担も相当あります。

消費者からみれば,「イベントができずに販促の機会を失った」という程度にしか見れないかもしれません。ですが何かイベントをするというのは,企画があって会場の手配など下準備があります。つまり相当のコストがすでに企業に発生しているということです。とくに見えないコストが高い。

しかも中止にすれば,中止にしたことを関係各所に連絡して別の機会を設けるかなど調整もしていかないといけない。せっかく時間をかけて関係各所と調整をしてきたのに予想だにしない事態で中止しないといけないというのは相当の負担です。経済的にも精神的にも。

こういった場合に仮に会社が参加者から事前に費用をもらっていたら特段の取り決めなどがない限り参加費用を返金することになります。新型コロナウィルスによるリスクをイベントを企画した企業側で負担するということです。まさに費用ばかりかかってしまう。

企業としては,お客さんの安全がなにより。しかも安易にこの状況で開催し感染者がでれば,「こういう状況であえて開催した経営者の判断は間違っている」と社会脾摘非難を浴びることにもなりかねません。そのため企業としては,イベント中止という判断になってしまうのでしょう。

新型コロナウィルス対応で重要なのは金融機関との情報共有

ではこういう状況下で経営者はどこから手を打つべきでしょう。

まず最初に確保するべきは社員の安全。社員が感染することがないように安全措置を尽くすべきです。そのなかには不要な会合などを防止するあるいはリモートワークを認めるなどの方策があります。同時に仮に感染者がでたときの対応についても整理しておきましょう。すでに雇用調整助成金の特例も実施されています。こういった行政のサポートを把握しておきましょう。

次に大事なのは資金繰り。中小企業は,どうしてもぎりぎりの資金で事業を展開していることが多いです。仮に売り上げがなくなったとしてどのくらいの期間を手元資金で対応できるかまず試算してみてください。自社の現在の体力を抑えるのが最初です。この状況下でいきなり何かをして売上をあげていくというのは現実的に難しいでしょう。

資金繰りに不安を覚えるのであれば,早めに取引銀行に面談を申し入れて情報共有をしておくべきです。必要であればリスケも含めた対応を早めに検討しておくべきでしょう。

経済産業省は,すでに28日に新型コロナウィルス対策としてセーフティネット保証4号を発動しています。新型コロナウィルスにより売上減少などがある場合に支援措置として信用保証協会が一般保証とは別枠で融資額の100%を保証する制度です。こちらのページにて確認してください。

物流がストップしたことによって間接的に影響が出ているケースが多い印象を受けます。複数の経営者から「自分のところには直接の影響がないと考えていたが。まさかこんなに」という声を聞いています。つまりいったいどこから影響けるのかよくわからないということです。実際の損害がでるのはこれからということも予測されます。

一日も早い収束を願るばかりですができることをまずやるという姿勢を大事にしましょう。