開業11周年を迎えて。小さくてもきちんとした事務所を

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2021.06.01 (更新日:2021.06.02) その他

本日をもって事務所開業11周年を迎えることができました。これもひとえに事務所を支えていただいたクライアント,スタッフのおかげに他なりません。ありがとうございます。その言葉につきます。あまりにも月並みな表現になりますが振り返ると開業した日のことがつい先日のようにすら感じます。思い出というのは,いつも自分から近いところに転がっているのでしょう。過去に思いをはせ感傷的な気分になれば,「いいことばかりが思い出される」とでも言うべきでしょう。ですが実際にはなかなかそういう気持ちにもならないものです。振り返れば「あれはつらかった」という思い出もいくつかあります。過去を美化するのではなくありのまま受け入れるというのは簡単なようで難しいものです。同時につらい経験があったからこそ11年を超えることがでできたとも感じています。

開業当時は,スタッフ2名をかかえていました。仕事もほとんどなくてなんとも長い1日を過ごしていたものです。あのころほど関門海峡を眺めていた時間はおそらく人生において後にも先にもないでしょう。苦笑 たぶん起業したことがある人ならわかるけどまさに興奮と不安が入り乱れた感情でした。「なんとかなる」と自分で自分を説得させるようなものですね。「採用したのに依頼がない。不安だ」というのは,リーダーとして絶対に口しないということだけは心に決めていたことです。本当にがむしゃらだったな。地域で人脈も知名度も経験もなくゴールも見いだせないままひたすら走っていたようなものです。

あのころはとにかく事件を増やして売上をあげないとと焦っていました。ですから今まで手にしたこともないマーケティングやブランディングの本を読みあさっていましたね。読むほどに「なるほど」と頭で理解するまでは楽しいですが,それを現実の世界に落とし込むことができずに悩んでいました。「学んだことを愚直に実行すれば実現できる」と考えていたわけです。それはそれで人生にとって大事な時間でした。わけもわからずもだえる。そういった時間は人生における修行のようなものです。そういった時間を耐えることができるのがまさに「若さ」なのでしょう。

現在ではなんでも効率至上主義です。いかに短期間に結果をだすことができるかが成功の基準になっています。それはそれで大事な視点ですが同時に「効率だけ」を追い求める風潮には危険な香りもします。効率性を求めすぎてしまうために「大事ななにか」を手から滑り落としてしまうかもしれません。効率的に対応していこうとすれするほど標準化が必要とされます。個性など考えれば非効率的です。ですがそれはクライアントを報酬をいただくひとつの記号としてとらえることになりかねません。僕は,そういう意味での効率性の追求にはまったく賛同できません。やはり個性のあった「あなた」であってほしい。「クライアント」という記号が付与された人物であってはならないわけです。

今年の事務所の方針は,「きちんとした経営」というものです。新型コロナによって経営にも影響が及ぶことが危惧されます。みんな「このさきどうなるのか」と不安を抱きながら日々暮らしています。こういう先行きの不透明なときだからこそ地に足のついた経営が必要でしょう。事務所には,いろんなマーケティング会社から「こうすればネットで集客できます」「効率的に事件を集める方法があります」など提案があります。ですが僕は,マーケティングよりもまず事務所の体制作りだと考えているのですべてお断りしています。新規の顧客を追い求めるよりも既存の顧客の方々こそ大事にしたいわけです。クラアインとではなくひとりの知人や友人のようなおつきあいをしたい。それは夢見がちなことで事務所を大きくすることはできないかもしれない。それでも僕は満足です。事務所を大きくするよりもひとりひとりを大事にすることが事務所の基本的な理念であり哲学であって欲しいと願っています。そこはスタッフにいつも伝えていることです。

これからも自分たちの哲学を大事にして自分たちの理想とする経営を目指していきます。このブログを読まれている方は,すでに事務所をご存じの方でしょう。これからも事務所をよろしくお願いします。みなさんと理想の事務所をともに作り上げていくことができればこれに勝る喜びはありません。