士業もしんどい。そういうときに読むべき3冊

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2021.07.07 (更新日:2021.07.08) 社労士の方へ

士業をしていると「資格があるからうらやましい」と言われることがあります。正直なところ「士業として仕事をする」という意味を誤解している印象を受けます。資格があるから暮らしていけるほど現代社会は楽ではない。苦笑 資格というのは,ただあればいいというものではないです。あることによって「できる領域」は広がります。ですが同時にあることによって自由にできなくなることもでてくるわけです。僕にとっては,資格というのはあくまで資格。そこからどうやってブランディングしていくかが大事なわけです。いくら資格を手に入れてもきちんと努力を継続していかない限り事業にはなりません。

僕は,事業における拡大意欲というものがありません。「信頼できる人とぼちぼち仕事ができたらいいや」という軽い仕事観で生きています。事業をうまく展開されている方を目にすればときにうらやましくもありますが自分に能力がないこともわかっているので「すごいな」で終わってしまいます。大半の士業の方にとっては,僕と同じような仕事観ではないでしょうかね。自分のできる範囲で自分を信頼してくれる方に対してきちんとしたサービスを提供する。僕は,そういった素朴な仕事観こそ企業を支える大きな力になる気がします。目立たなくてもしっかり支える。それが社会を維持する原動力にもなるはずです。ちなみに僕の目下の興味は,この小さなチームでどこまで大きな仕事をすることができるかです。そのための組織作りにトライしています。

言いたいのは士業にしても他の仕事でいろいろ悩むことがあるということです。士業だからといって自然と仕事が来るわけでもなくかつ自然と報酬がいただけるわけではないです。たぶん自分で経営をしている士業の人であれば,この感覚は痛いほどわかるはずです。たぶんまじめに仕事をしている人ほど「この仕事を辞めたい」という壁にぶつかるものです。その壁にぶつかりながらもなんとか超えていくのが「普通の士業の生き方」と考えます。そういう感覚は大事ですよ。今回の社労士先生との勉強会では,こういった「しんどい」ときに読むと効く本をいくつかご紹介してみました。

すべての士業の本質はカウンセリングではないだろうか

僕は,士業のもっとも価値のある行動は「経営者の話を聞く」ということだと位置付けています。とかくビジネス書ではプレゼンの方法など「どうすればうまく話せるか」ばかりフォーカスされていますが現実はまったくの逆。たくさんの前で話をするような方は士業のなかでもごく一部でしょう。多くの方にとって現実的に求められるのは聞くことなんです。聞くことでこそ経営者は「この先生は頼れる」ということになります。ただ問題になるのは聞くというプロセスを体系的に学ぶ機会がまったくないことです。聞くことで参考になるのは,やはりカウンセリングです。そこでご紹介したいのが「河合隼雄のカウンセリング入門」です。河合先生には,たぶんに影響を受けてきました。先生が一般人向けにカウンセリングのありかたを説いた本書は士業にとっても参考になります。これからの時代は士業×心理学こそ意味を持ってくるのではないでしょうか。

自分を肯定するのは難しい。だからこそサポートするものが必要

悩みを抱えていると「こんな自分ではダメだ。どうにかしなければ」とひたすら自分を否定する傾向に陥りやすいものです。でも自分を否定するほどに周囲が見えなくなりいっそう苦しくなってくるものです。さりとて「自分を大切」と甘い言葉をいくら耳にしてもしっくりこないのも事実です。どうしても「そんなことができないから悩んでいる」と考えてしまうわけです。「疲れすぎて眠れぬ夜のために」は,そういった自分の力を抜くことをサポートしてくれる1冊です。「まぁ現状でいいじゃないですか」という感じです。それがとても緊張の多い日常にとって癒やしになります。

なるようにしかならない

悩みって特に多いのが人間関係にかんするものです。たぶんこれは誰にとっても同じ。クライアントから職場までいろんな人と関わりながら日常が展開していきますがどこかでつまづくと心が沈みこんでしまい世界全体が苦しく感じてしまいます。まさにどつぼ。そういうときに大事なことは,ストア哲学が教えてくれます。究極の思考は「悩んでも仕方ないことに悩まない」というあまりにもわかりやすいものです。「それはそうだろ」とツッコミたくなりますが本当に深いところで理解しているでしょうか。「わりきり」ってなかなか普段暮らしのなかでじっくり考えることはないです。迷いを断つためのストア哲学は,そういった冷静かつ現実的な解決指針を教えてくれるものです。もうさっぱりしたいというときにどうぞ。