事業承継で成功した人が絶対に意識していること

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2017.03.24 事業承継対策

 中小企業であれば,自社の未来永劫に渡る繁栄を誰しも希望するものです。そして将来の繁栄のためには,事業承継の成功が大きな課題になります。自分の成功を次の世代にわたすことが最大の事業といっても過言ではないでしょう。これまでたくさんの事業承継を目にしてきましたが成功した経営者にはひとつの共通点があるように感じます。ここを抑えることが自社の繁栄のスタートになるのでしょう。

つまるところは経営手腕

 中小企業の事業承継といえば,自社株の譲渡や税金対策という観点から語られることが多いです。たしかにこれらは事業承継の戦略を考えるうえで必要不可欠なことです。とくに自社株は保有していなければ社長の椅子を確保することができません。そのため多くの経営者は,弁護士や税理士のアドバイスを受けて自社株対策に取り組んでいるでしょう。

 ですが事業承継対策は,自社株対策や税金対策で終わるものではありません。一番大切なのは後継者の経営手腕です。いくら資産を用意しても経営手腕がなければあっというまに会社がダメになるでしょう。とくに中小企業は組織というよりも社長の手腕によって成長するのが一般的です。ですからトップに経営手腕がなければ事業経営が迷走することは明らかです。

 少なくない経営者が後継者の経営手腕の向上に対して具体的な戦略を持っていません。なんとなく取引先などで勤務させることが修行と誤解しています。いくら修行しても人に雇われている限りは社長の訓練にはなりません。それでは事業承継において苦労することになります。

 経営手腕といっても内容は様々なものを含んでいます。とくに大事だといえるのは人に好かれる能力です。これは中小企業のトップにとって必要不可欠です。トップが周囲から嫌われると仕事になりません。しかも「いかにして人に好かれるか」については唯一の回答もありません。いろんな経験をすることではじめて人に好かれることの意味と努力を知ることになります。

経営手腕の磨き方

 経営手腕が必要なことを反対する人はいないでしょう。問題はどうやって経営手腕を磨いていくかです。若い経営者であればプロパーといっても通常わかりません。もっといえばほとんど何も知らないというケースもあります。経営手腕を磨くというのは難しいことです。安易に挑戦したら失敗して後戻りできません。逆に挑戦を避けていたらいつのまにか時代遅れになります。

 経営手腕を磨くには,なにより不採算部門の立て直しを任せることがひとつの方法です。最初からマイナスの状況なので立て直しは相当の苦労を知ることになります。若い経営者で勉強熱心な人ほど理想論や新しいシステムで会社の経営をしようとします。これがなかなかうまくいかない。せっかく何かを導入しようとしても社員のモチベーションが低かったり反発を受けることになります。こういった反発こそ社長の手腕を磨くことになります。赤字部門を黒字化するには社員との歩調を合わせる必要があります。

 ですがいきなり不採算部門の立て直しと言っても全体のイメージができなければなかなかうまくいきません。中小企業では,経営の勘所をコンパクトに学べる場所があまりにも少ないです。そこで事務所では,経営のポイントをわかりやすく伝えるために後継者向けの勉強会を定期的に開催しています。銀行との付き合い方から社員とのコミュニケーションまで「後継者ならここまでは把握するべき」というものに絞って提供させていただいています。こういった実務ベースの勉強会にはぜひ参加なさることをお勧めします。