事業承継の事例:後継者の離婚や養育費問題への対応

投稿者:
島田 直行(弁護士)
2019.11.16 (更新日:2019.12.02) 事業承継対策

事務所では,経営者から後継者の離婚の相談を受けることが少なくないです。3組にひとりが離婚する現代においては経営者家族にとっても離婚は珍しくないです。離婚の原因はさまざまですがやはり多いのは,婚姻生活における性格の不一致。本来であれば結婚というのは,結婚した後の長時間の暮らしです。バックグラウンドの違うふたりですからいろいろ調整していくべきことがあります。ですが結婚=結婚式と誤解してしまうことがあります。ですからいざ結婚すると「想像していた暮らしと違う」ということになりしだいに精神的な負担になってしまいます。とくに経営者の暮らしというのは,一般的な社員の暮らしとはいろんな意味で違います。営業のために夜の帰宅が遅いことが続くこともあります。経営者の家族にとっては,「あたりまえ」のことであっても世間からすれば「あたりまえ」ではありません。

離婚においてとくに悩ましいのが子の親権についてです。やはり親権は母親に認められることが多いです。子の親権で両親が争うことは,子どもにとっても望ましいことではありません。

母親が親権を獲得すると父親は養育費を負担することになります。養育費については,当事者の合意により決まります。ですがケースによっては,当事者だけでは合意ができないときもあります。そういうときには養育費を求めた調停などの手続きを採用していくことになります。家庭裁判所は,当事者の年収などをベースにして養育費を算定していきます。

養育費の算定については,令和元年12月に新たな基準が最高裁から公表されることになっています。これは実務へ与える影響が大きいですね。基本的には裁判所の提示した金額で折り合いがつくのが多いです。

女性サイドからすれば,金額もですが本当に支払ってもらえるのかという不安もあります。実際のところ養育費を確実にもらっているのは約2割とすら言われてます。いかに養育費の確保が難しいのかがおわかりになるでしょう。もしも経営者の御嬢様が離婚することになったら強制執行ができるように公正証書や離婚調停といったものを用意しておくべきです。口頭での合意やたんなる書面のやりとりでは不十分です。なにかったら強制執行ができるように用意しておくべきです。

ただ強制執行をしたからといっても相手に資力がなければ回収ができないというのも現実です。ですから離婚したあともできるだけ相手の勤務先はわかるようにしておくべきです。勤務先がわかれば給与の差し押さえなどが可能だからです。

離婚というのは,誰にとっても辛い経験です。ですが「辛い」というだけでは前に進むことができません。今何ができるのか。そういう観点で将来に向けた前向きな話ができるといいですね。