
「傘立てを見れば、会社が見える」——ある経営者の感覚に学ぶ
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.04.22
先日、ある経営者の方とお話をする機会がありました。その中で、「その会社の姿勢って、どこで見定める?」というテーマで盛り上がったのが印象的でした。
誰しも無意識のうちに、自分なりの「経営を測る感覚」を持っているものだと思います。例えば、トイレが清潔に保たれているかどうか、スリッパの並び方、あるいは料理人であれば、爪の手入れや包丁の使い方など。表立って語られることは少ないですが、こういった些細な部分に、その人や組織の本質が表れると考える方も多いようです。
こうした「暗黙の尺度」は、なぜそれが大事なのか、説明が難しいこともあります。けれど、だからこそ、その人なりの経験や価値観がにじみ出ていて、聞いていてとても面白いのです。私自身も、多くの方の話を聞きながら、自分なりの「感覚の物差し」を少しずつ磨いてきたように思います。
今日はあいにくの雨模様でしたが、ふと、そんな感覚について改めて考えるきっかけがありました。私が会社を訪れたとき、つい気になってしまうものの一つに「傘立ての状態」があります。
傘立て——正直なところ、会社の本業とはまったく関係のない場所です。注目もされにくい。しかし、だからこそ、そこにその会社の姿勢や、経営者の価値観が映し出されるのではないかと思うのです。
傘立ては、多くの場合、建物の玄関に置かれています。つまり、最初に目に入る場所です。そこに、誰も使っていないような古びた傘が何本も無造作に突き刺さっていたり、骨が折れた透明のビニール傘が放置されていたりすると、それだけで「この会社、大丈夫かな?」という印象を抱いてしまいます。
もちろん、傘立てが綺麗だからといって売上が上がるわけではありません。でも、こうした見落とされがちな場所にまで気を配れているかどうかは、会社全体の運営にも通じるものがあると感じています。
実際、業績が安定している会社や、信頼感のある職場ほど、傘立ても整然としていることが多いように思います。たった一つの傘の置き方で、その空間に流れる空気が変わる。そんな小さな「気づき」が、会社の文化や人の心を作っていくのではないでしょうか。
日陰にあるような場所だからこそ、私は大切にしたいと思っています。そういう細部への心配りが、やがて陽の当たる場所での「美しさ」や「強さ」に結びつくような気がするのです。
皆さんも、もしお勤め先やご自身のオフィスに傘立てがあれば、一度見直してみてはいかがでしょうか。折れた傘は処分する。使わない傘はしまう。当たり前のことを、当たり前に行う。その積み重ねが、きっと大きな差を生むのだと思います。
少なくとも、私は自分の経営において、そんな感覚を大切にしていきたいと感じています。
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