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愛想のよさは強さだということ

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.04.23

日常生活の中で、デパートの店員さんや銀行の窓口の方と接する機会は少なくありません。そうした場面で、「この人、感じがいいなあ」と自然と思える方に出会うことがあります。逆に、必要以上に言葉を交わしたわけでもないのに、なんとなく居心地の悪さを感じてしまう方もいたりします。この「愛想の良さ」や「人当たりの柔らかさ」は、決して些細な違いではなく、私たちの心に深く残る、大きな印象の差を生むものだと思います。

ある経営者の方が「採用の判断は、学歴よりも愛想の良さを重視している」と語っていたことがあります。当時の私はまだ若く、その言葉の意味が十分に理解できませんでした。しかし、年齢を重ね、さまざまな人と接し、自分でも事務所を運営するようになってから、その言葉の重みを実感するようになりました。

サービスを受ける側の立場に立ってみると、それは一層明確になります。同じサービスを受けるにしても、愛想よく丁寧に対応されると、心がほぐれるような嬉しい気持ちになります。反対に、どこか事務的で冷たい雰囲気を感じてしまうと、それがどんなに素晴らしい内容のサービスであっても、どこか満足感が薄れてしまう。人間の感情というのは、そういう些細な「接し方」に敏感に反応するものなのだと、つくづく思います。

以前、あるお店で買い物をしたときのことです。レジの近くで少し待たされたのですが、その後、店員の方がわざわざ走ってこちらまで来て、「お待たせして申し訳ありません」と丁寧に声をかけてくださいました。特別なことをされたわけではありませんが、その一言に、とても誠実な人柄を感じました。それだけで、そのお店への印象も大きく変わったのです。

こうした気配りは、おそらくマニュアルに書かれていることではないでしょう。どれだけ丁寧な接客マニュアルを用意しても、それを“自然に、心を込めて”実行できるかどうかは、その人自身の人柄や価値観による部分が大きいと思います。だからこそ、採用や評価の場面では、そうした定性的な魅力も、もっと大切にされるべきなのではないかと感じるのです。

私は時々、「スキルや知識の差というのは、思っているほど大きくないのではないか」と思います。ある程度の練習や経験を積めば、多くの人が一定レベルに到達します。もちろん、高度な専門性が必要な分野もありますが、一般的な業務においては、努力でカバーできる部分も多いのではないでしょうか。

それに対して、「人と接するときの姿勢」や「自然な愛想の良さ」といったものは、なかなか一朝一夕で身につくものではありません。むしろ、その人の中にある価値観や育ってきた環境がにじみ出るような部分であり、表面的なテクニックだけでは補いきれない深みがあります。

だからこそ、企業や組織における人事評価においても、そうした“見えにくい価値”をもっと評価していいのではないかと思うのです。「この人と一緒に仕事をしたい」「この人からサービスを受けると気持ちがいい」——そんな印象を与える人には、相応の評価や報酬があってしかるべきです。

私が経営している事務所では、そうした部分をとても大事にしています。スタッフにも「業務をこなすだけでなく、相手の気持ちを思いやる対応を心がけましょう」と繰り返し伝えています。それが事務所の雰囲気をつくり、お客様や相談者の方々との信頼関係にもつながっていくからです。

実際、職場の空気というのは、トップの姿勢に大きく左右されます。たとえば私自身、忙しさにかまけて無愛想になってしまうことのないよう、意識的に笑顔や言葉がけを心がけています。それだけで場の雰囲気が和らぐことも多く、ちょっとした意識の差が、結果として大きな信頼や評価につながるのだと感じます。

もちろん、誰しもが完璧である必要はありません。でも、そうした“心がけ”を持ち続けることが、組織やサービスに深みと温かさをもたらす。私はそう信じています。そして、その積み重ねこそが、マニュアルには書ききれない「魅力」になっていくのだと思うのです。

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