
質問することは、敬意のかたち
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.04.25
私の事務所では、時おりスタッフに向けて、ちょっとした話をすることがあります。実務的な知識の共有もありますが、それ以上に、「働くうえでの考え方」や「人とのコミュニケーション」について話す機会が多いように思います。
だらだらと話すのは性に合わないので、だいたい5分程度でコンパクトに。「これは大事にしてほしいな」と思ったことを、その都度伝えるようにしています。
今日の話題は、「講義やセミナーを受けるときは、質問をしてみよう」というものでした。
スタッフだけでなく、今は多くの方がオンラインセミナーや勉強会などに参加する機会があると思います。その中で、講師の話を100%理解するというのは、正直なところ難しい。むしろ、わからない部分が出てくるのは当然のことです。
だからこそ、私は「質問をすること」自体が一つのマナーだと考えています。
実際に私も講師として話す機会がありますが、質問いただけるのはとても嬉しいものです。「ちゃんと聞いてくれていたんだ」と実感できますし、反応があることで、話してよかったなと思える瞬間にもなります。逆に、何のレスポンスもないまま終わるのが、話す側としては一番つらいかもしれません。
私は、「質問すること」は敬意の延長線上にある行為だと捉えています。相手の話をよく聞き、理解しようとしているからこそ、質問が生まれる。これは、非常に前向きで誠実な姿勢ではないでしょうか。
とはいえ、「質問するのが苦手」という人も多いのが現実です。
よくあるのは、「こんなこと聞いても大丈夫かな」とか「こんな質問、レベルが低いって思われないかな」といった不安です。ですが、私はそういった気持ちにこそ共感しますし、そのうえで声を大にして伝えたいのは、「遠慮することはありませんよ」ということです。
実際、講師側からすれば「そこが伝わらなかったのか」と知ることができるのは、とても貴重なことです。どこに改善の余地があるのかが明確になりますし、次によりよい講義を届けるためのヒントにもなります。だから、質問をすることは、聞く側にとっても、話す側にとっても、双方にとって大きなメリットがあるんです。
私自身、セミナーなどに参加するときには、できるだけ積極的に質問をするようにしています。もしその場で聞けなければ、終わってから個別にでも聞きに行きます。それを失礼だと思ったことは一度もありません。むしろ、それは「参加した証」だとすら感じています。
もちろん、質問をするには慣れも必要です。何度も伝えて、ようやく「聞いてもいいんだ」と思えるようになる人もいます。でも、仕事に前向きに取り組む姿勢というのは、そういった小さな積み重ねから生まれるのだと思うのです。
大きなことをやろうとする前に、まずは「ひとこと聞いてみる」。
それだけで、世界が少しずつ広がっていくのではないでしょうか。
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