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言葉の定義

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.04.29

ここ数年、「生産性」という言葉を耳にする機会がとても増えました。
特に、労働人口の減少が深刻な中で、多くの中小企業が「生産性向上」を大きな課題としています。ビジネスセミナーや書籍でも、至るところで「生産性」というキーワードが踊っています。私自身もセミナーなどでこの言葉をよく使います。

しかし、改めて考えてみると、この「生産性」とは一体何なのでしょうか。
皆さんも、「生産性の定義を教えてください」と言われたら、すぐに答えられるでしょうか?おそらく、人によって微妙に考え方が違うのではないかと思います。一人当たりの売上高を指す人もいれば、短時間あたりの利益を指す人もいるかもしれません。

このように、名詞として普通に使っている言葉でも、実はよくわからないまま使っていることは珍しくありません。社会の中でも、そうした曖昧な使い方はよく目にします。

そして、これは弁護士として交渉の場に立つときにもよく感じることです。
交渉では、ある言葉の定義が当事者間で微妙にズレているために、なかなか話が進まないことが多々あります。そのような場合は、いったん交渉を止めて、「この言葉の定義をどう考えるか」というところから冷静に整理し直すことが、とても大切になります。

もし定義にズレがあるなら、さらに一段階戻って、どこまで共通認識を深めれば交渉が成立するのかを見極めていく。この「地盤を固める」作業こそが、交渉をうまく進めるための重要なポイントなのです。

ですから、皆さんも、もし誰かと話していて「なぜか噛み合わないな」と感じたら、まず「使っている言葉の意味をお互いどう考えているか」を確認してみてください。意外に、そこをすり合わせるだけで、話がスムーズに進むことがよくあります。これは非常に効率的なアプローチです。

話を戻します。
企業にとって「生産性を上げる」ことは確かに重要な課題です。しかし、「生産性向上」ばかりを追求することで、失われるものがあるかもしれないという視点も、常に持っておくべきだと私は思います。

生産性を高めることは、必ずしもすべてをうまく運ばせる魔法の鍵ではありません。
生産性ばかりに目を向けすぎると、その企業が大切にしてきた文化や価値観が失われてしまうこともあります。それでは、長期的な成長にはつながらないかもしれません。

物事には必ず、メリットとデメリットの両面が存在します。
生産性を高めることにも、当然デメリットはあるはずです。だからこそ、経営者は何かを選択し、判断するときには、「何を失う可能性があるか」ということを冷静に見極めなければなりません。そこを見落としてしまうと、判断基準がブレてしまい、結果として組織全体が不安定になってしまうリスクもあります。

「すべての物事には二面性がある」
この考え方を、私はいつも心に留めておきたいと思っています。

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