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「始めるより、続けるほうが難しい」——歯医者とローマ帝国の話

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.05.01

私は定期的に歯医者に通い、歯垢の除去や検診といったメンテナンスを受けています。忙しい毎日の中で、こうした時間を確保するのは決して簡単ではありません。それでも、他の予定を調整してでも歯のケアを優先するようにしています。

というのも、歯に不調が出ると、食事だけでなく集中力にも影響し、仕事全体のパフォーマンスが下がってしまうからです。私にとっては、これは“やむを得ない投資”として割り切っている部分でもあります。

実際、私の周りでも、どれだけ忙しくても歯の手入れにはコストをかけている人が多くいます。これは「長期的な視点」の重要性を理解しているからだと思います。どんなに優れた計画も、メンテナンスを怠れば持続できません。

メンテナンスには手間もコストもかかります。それでも、ここを疎かにしてしまうと、どんなに魅力的なプロジェクトでもうまくいかなくなります。歴史的な例で言えば、ローマ帝国がそうでした。壮大な建造物や闘技場を築き上げたものの、維持管理にかかるコストが国家財政を圧迫し、衰退の一因になったとも言われています。

現代の日本でも、老朽化したインフラの維持・更新が社会課題として浮上しています。これも「作ること」と「維持すること」のバランスが取れていなかった結果なのかもしれません。

私は、この「メンテナンスの視点」が、実は非常に本質的なものではないかと感じています。物事には、「始まり(スタート)」「維持(メンテナンス)」「終わり(クローズ)」という三つのプロセスがあります。しかし、私たちはどうしても“始めること”にばかり注目し、維持にかかるコストや労力については見落としがちです。

ある程度ルーティン化された後も、そこには多くのエネルギーが必要です。そして、収益を生み出すプロセスも、実はこの「維持」の中にこそあるのです。長期的な改善を積み重ねるからこそ、価値が生まれ、成果が出るのだと思います。

それにも関わらず、なぜ私たちはこの「維持」の難しさを軽視してしまうのでしょうか。一つの理由は、「やったことがないから」だと思います。初めてのプロジェクトでは、どれほどの維持コストがかかるかというリアルな感覚が持てません。そのため、つい見積もりが甘くなってしまうのです。

だからこそ、新しいことを始めるときには、「メンテナンス」から逆算して考える視点が大切だと思います。どれだけのコストが継続的にかかるのか。必要であれば経験者の話を聞いたり、事前にイメージを共有したりすることが、後の持続可能性につながります。

歯のケアも、仕事のプロジェクトも、人生のあらゆる営みも、始めるより「続ける」ことのほうがずっと難しい。それでも、それを意識できるだけで、きっと結果は違ってくるのではないかと思います。

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