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「考える時間」は贅沢じゃない

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.05.29

なんでもかんでもスピードが求められる時代になりました。とにかく早く結論を出して、次のステップへと進む——それが仕事の生産性を高める上で大事なことだというのは、確かにその通りだと思います。私自身も、日々の仕事では「スピード感」をとても大切にしています。タスクを滞らせずにこなしていくという意識は、弁護士という仕事をするうえで欠かせません。

ただ、その一方で私がずっと大切にしてきたのは、「じっくり考える時間を手放してはいけない」という感覚です。今の社会では、何事にもスピードが求められる結果として、一つのことについてじっくり考える機会が、以前にも増して減ってきたように思います。むしろ「時間をかけて考えること」は、効率が悪いとか、生産性が低いというようなネガティブな印象すら与えるようになってしまいました。

でも、それは本当に正しい価値観でしょうか?

私たちの周囲には、さまざまな問題があります。その中には「解決できる問題」もあれば、「解決できない問題」もあります。前者は、ある程度の情報や知識、そして判断力によって、一定の結論を導くことができるでしょう。しかし、後者——すなわち答えのない問題や、簡単に割り切れない問題については、結論を出すことそのものが困難です。そういうときにできるのは、ひたすら考え続けることだけなのです。

そして、この「考え続ける」という営みこそが、思考力の本質だと思います。

現代は、「答えがないもの」に対して、私たちが考えることをあきらめてしまいやすい時代です。答えが出ないのなら、時間をかける意味がない——そんな空気が、どこかに漂っている気がします。でも、そうやって難しいことから目を背けてしまうと、いつの間にか自分の思考力が衰えてしまいます。

特に、私たちが直面する「正解のない問題」に対して、自分がどう考えるのか。それを言葉にしてみること、自分自身の中で問い続けること。こうした時間を、意識的に作ることが必要なのではないかと最近強く感じています。

じっくり考えるという行為は、時に苦しいものです。特にそれが答えの見えないテーマであれば、自分が何を言っているのか、自分の考えが正しいのかどうかすらわからなくなることもあります。でも、それでも考え続けるという姿勢が、本当の意味での「考える力」を養っていくのではないでしょうか。

明日のことなんて、誰にも分からない。だからこそ、私たちは、自分の考えに基づいて、一つひとつ判断していくしかありません。そのときに、自分自身の思考を信じられるようでありたい。そのためにも、「考える」という行為を、もっと大切にしていきたいと思います。

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