
「伝えた」と「伝わる」は違う
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.06.13
本日は、「パワーハラスメント」をテーマにセミナーを担当させていただきました。ご依頼いただけたことに、まずは感謝の気持ちでいっぱいです。
私がセミナーで大切にしていることは、「理屈の正しさ」よりも、「実際どうなのか?」という現場感覚に寄り添うことです。もちろん、弁護士として法的な理論を丁寧にお伝えすることも欠かせません。ただ、それだけでは伝わりにくい場面も多々あるのが現実です。理屈は正しいけれど、イメージが伴わなければ、参加者の心に残らない。そんなもどかしさを、これまで何度も感じてきました。
「伝える」という行為は、私にとって永遠のテーマの一つです。私たちは、つい「伝えた」と思い込んでしまいがちですが、それが「伝わった」とは限りません。そこには、主観と客観の間に大きな隔たりがあります。だからこそ、相手の反応を受け取りながら、自分の伝え方を少しずつ調整していく。そうした繰り返しが、経験を積むということなのかもしれません。
私自身、まだまだ未熟で改善点も多いと感じています。それでも、参加者の方々からの反応を受けながら、試行錯誤を重ねる時間は学びに満ちていて、何より楽しいものです。
今日のセミナーでもお伝えしたのは、パワハラの問題を「被害者の視点」だけでなく、「加害者になる可能性」からも見つめ直す必要があるということです。私たちは、パワハラと聞くと、どうしても自分を被害者の側に置いてしまいがちです。しかし、実際には誰しもが加害者にもなり得る存在なのです。
被害者と加害者は、ある意味で表裏一体の関係です。その意識があるからこそ、私たちは自分の言動に敏感でいられるのではないでしょうか。「自分も加害者になるかもしれない」という想像力こそが、最も有効なパワハラ防止策だと思います。
結局のところ、自分を律する力が問われるのだと感じます。自分自身をどう扱うかが、他者への関わり方にも自然と現れてくるもの。だからこそ、今日のセミナーが少しでも参加者の方々にとって何かの気づきやヒントになっていれば嬉しいです。
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