隙間の不安と、流れゆく時間の中で
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.11.15
今週は本当に慌ただしい日々が続きました。ブログを書く時間もとれず、気がつけばもう週末というような感覚です。
毎年のように「今年こそはゆとりのある生活を」と思うのですが、なかなか実現しません。これはもう自分の癖だなと、半ば諦めにも似た感覚で受け入れています。
というのも、私はどうしても隙間時間があると、そこに予定を入れてしまうんです。空白があると不安になる。そんな性質があるようです。たぶん「何かしていないといけない」と無意識に思ってしまっているのでしょう。
昔、哲学者のスピノザが「人間の不幸は暇から始まる」といった趣旨のことを語っていた記憶があります。確かに、意図的に時間を空けるというのは、意外と難しいものです。予定が詰まっているとしんどいはずなのに、いざ予定のない時間ができると、何をしていいかわからなくて落ち着かない。それって少し滑稽ですが、働いている人なら多かれ少なかれ共感してもらえるのではないでしょうか。
私たちは、「ゆっくりしたい」と思いつつも、その“ゆっくり”に耐えられない。そういう矛盾を抱えて日々を過ごしています。きっと、「やることがある」というのは、それだけである種の安心を与えてくれるのだと思います。
ただ、その一方で、予定を詰め込みすぎると心も体も疲れてしまいます。ですから、そのバランスをどう取るかというのが、私たちの世代に課されたひとつのテーマではないでしょうか。
最近は、「自分たちが若い人にどんな背中を見せられるか」ということを少しずつ意識するようになってきました。年齢的にも、ただ知識や技術を伝えるだけでなく、「どんなふうに働き、どんなふうに休むのか」といった、在り方そのものを見せていく必要があるのではと感じています。
知識やスキルでいえば、これからの若い人たちの方がどんどん伸びていくでしょう。AIの力も加われば、私よりも遥かに効率よく仕事ができる時代が来るかもしれません。だからこそ、私たちが伝えていけるのは、「どう生きるか」といった部分なのかもしれません。失敗のエピソードも含めて、体験に基づいたバランス感覚は、やはり年齢を重ねないと見えない部分があると思います。
最近疲れを感じたときは、事務所の窓から海を眺めるようにしています。関門海峡の流れは開業以来、何度も見てきましたが、飽きることがありません。あの速い流れを見ていると、自分の中のいろんな感情が、ただ静かに流れていくような気がするのです。
喜びも悲しみも、怒りも安堵も、結局はすべて流れていきます。感情というのはずっと続くものではなくて、移ろいゆくものです。だからこそ、新しい感情や出会いに心が開けるのかもしれません。今しんどいと感じていることも、やがて流れていく。そのことを心のどこかで信じていれば、少しだけ呼吸が楽になるように思います。
今日も海は流れています。たとえ立ち止まるように見えても、私たちはその中で確かに動いているのだと思います。
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