083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

tel:083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

tel:083-250-7881[9:00〜17:30(土日祝日除く)]

福利厚生だけでは社員は定着しない

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2025.03.12

経営者であれば、誰しもが「どうすれば社員がもっと働きやすくなるのか?」と悩むものです。特に、昨今の人手不足の状況では、今いる社員との長期的な関係を大切にしたいと考える経営者は多いでしょう。そのため、「社員の定着率を上げるにはどうすればいいか?」という相談を受けることがよくあります。

その中で特に多いのが、福利厚生の充実についての相談です。確かに、福利厚生が充実すれば、社員の満足度は一時的に向上するかもしれません。しかし、労働問題を多く見てきた私の視点からすると、福利厚生の充実が必ずしも社員の定着率向上につながるとは限らないと考えています。

福利厚生の限界

福利厚生が導入された当初は魅力的に映りますが、人は慣れる生き物です。最初は感謝される制度でも、時間が経つにつれて当たり前のものになります。さらに、企業がコスト削減のために一度提供した福利厚生を廃止すれば、社員の反発を招くリスクもあります。

これは「プロスペクト理論」にも関係します。人は「得られなかった利益」よりも「すでに得たものを失うこと」に対する喪失感の方が強いといわれています。したがって、安易に福利厚生を増やすことは、結果的に経営の負担になる可能性があるのです。

定着率向上に必要なもの

福利厚生よりも重要なのは、次の三つのポイントです。

業界平均以上の給与を支払う

社員にとって、給与は生活の基盤です。同じ地域の同業他社と比べて明らかに低い給与水準では、社員は不満を抱き、転職を考えるでしょう。特に人手不足の今、給与を抑えようとすると、結果的に事業の継続自体が難しくなる可能性があります。近年、人手不足を理由に倒産する企業も増えており、この点は無視できません。

経営者の明確なビジョン

オーナー企業においては、経営者の考えが会社の方向性を決めます。社員にとって、会社の未来が不透明な状態は不安要素でしかありません。明確なビジョンを示し、「我々はなぜこの事業をしているのか」「何を目指しているのか」を言葉で伝えることが、特に若い世代の定着につながります。

経営者と社員の一対一の関係性

最後に重要なのは、社員との直接的なコミュニケーションです。特に新入社員に対しては、経営者が自ら声をかけることが大切です。仕事に関係のない雑談でも構いません。社員が困ったときに誰に相談すればいいのかわからず、一人で抱え込んでしまうことを防ぐためにも、経営者から積極的に関わる姿勢を示すことが信頼関係の構築につながります。

社員の定着率を向上させるためには、福利厚生だけに頼るのではなく、給与水準の適正化、経営ビジョンの明確化、経営者と社員の信頼関係の構築が重要です。これらの要素が揃うことで、社員は「この会社で働き続けたい」と思える環境を感じるのではないでしょうか。

BLOG一覧へ戻る

CONTACT

お困りごとは、島田法律事務所で
解決しませんか?

お急ぎの方はお電話でお問い合わせください。
オンライン相談をZoomでも対応しています。

083-250-7881
[9:00〜17:30(土日祝日除く)]