
「努力が報われない」と感じるときに
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.05.30
僕たちは真面目に暮らしていても、社会の中でふと「生きづらさ」を感じることがあります。むしろ、そうした感覚は年々強くなってきているように思います。
私自身、なぜこのような生きづらさを感じるのか、よく考えることがあります。特別に何かを諦めたり、投げ出したりしているわけではなく、日々目の前の仕事に真摯に取り組んでいるつもりです。それでも、ふとした瞬間に「なんとなくしんどいな」と感じる。そんな感覚は誰にでもあるのではないでしょうか。
おそらくその背景には、「努力すること」の意味合いが、私たちの中で少しずつ変わってきていることがあるのではないかと思います。
小さい頃から「努力しなさい」と教えられてきました。努力は報われるものであり、それが当然だと信じて疑わなかった。でも大人になってみると、努力と結果が必ずしも比例しない現実に直面することが増えます。
一生懸命頑張っても報われないこともある。他方で、努力しているようには見えない人が、簡単に壁を越えていくこともある。頭では「おめでとう」と思おうとしても、心のどこかで「どうして自分はうまくいかないんだろう」と感じてしまう。そういう気持ちになるのは、決して特別なことではなく、ごく自然なことだと思います。
こうした努力と成功のアンバランスは、今に始まった話ではありません。昔からあった現象なのだと思います。ただ、現代社会はあまりにも複雑化してしまい、状況はさらに厳しくなっているのかもしれません。
選択肢がたくさんあるように見えて、実際にはその選択肢が狭まっている。分業化・専門化が進んだ結果、自分のいるフィールドから他のフィールドにスライドしにくくなってしまっているのです。
努力してもうまくいかないとき、別の方向を試してみようとしても、それが現実的に難しい。だからこそ、「この道しかない」と思い詰めてしまい、生きづらさを感じてしまうのではないでしょうか。
よく「可能性は無限大」と言いますが、本当にそうでしょうか?私たちの日々の暮らしは、実際には限られた選択肢の中で、なんとかやりくりしているのが現実です。
だからこそ、私はこう思います。努力してもうまくいかないときには、「ちゃんと別の方向に進んでもいい」と、自分に許可を出すことがとても大切ではないかと。選択肢があることを思い出すだけでも、少しだけ心が軽くなるような気がします。
「今の場所だけがすべてではない」。そう思えることで、私たちは少しずつ、生きづらさから解放されるのではないでしょうか。
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