「好きだけど作らない料理ってある」

料理って、実際に自分でやるかは別として、見ているだけで楽しいものだと思います。僕自身はあまり料理をするタイプではないのですが、なぜか昔からテレビのクッキング番組が好きです。たとえばNHKの「きょうの料理」など。ぼーっと眺めるのがなんとなく好きなんですよね。

意識して見ようと思っているわけではないのですが、ふとテレビをつけて、料理番組がやっていると、そのままずっと見入ってしまう。あのプロの手際の良さに、毎回感心してしまいます。材料を切る速さ、無駄のない動き、火加減の調整も絶妙で、さすがだなあと。で、見ているとやっぱり美味しそうに見えてしまうんですよね。

でも、自分でやるかというと、それはまた別の話です。僕はというと、料理は“気まぐれ”でやる程度。たまの休日に、「なんか食べたいな」と思ったときに、焼きそばとかカレーとか、簡単なものを作ってみるくらいです。凝ったものは作らないけれど、自分で作って、好きなものを食べるのは案外いいものです。

それで思ったのが、「家でも作れそうだけど、実際には作らない料理」って、意外と多くないですか？　特に珍しい料理というわけではなく、誰でも知っていて、外食でもよく目にする料理。それなのに、家で自分で作るとなると、なかなか腰が上がらない。

僕にとってその代表格が「カツ丼」です。もう、カツ丼は大好物と言ってもいいくらいで、ついつい外で食べてしまいます。もちろん、食べすぎたら太ってしまうなあ……と思いつつも、あの味にはなかなか抗えない（笑）。でも、いざ自分で作るか？　と考えると、やっぱり面倒くさい。豚カツを揚げて、それを卵でとじて、という手間を考えると、なかなかその気になれないんですよね。

カツカレーもそうです。カレーを作って、そのうえさらにトンカツも用意するなんて、ハードルが一気に上がります。「美味しいものを食べたい」という気持ちと、「手間をかけたくない」という気持ち。この二つの間で揺れ動いて、結果として後者に傾く。それもまた、その人らしさなのかもしれません。

もちろん、料理が好きな人は全然違うでしょう。とことんこだわって、楽しんで、どんな手間も惜しまない。そういう人を見ていると、本当にすごいなと尊敬します。

でも、僕のように「やればできるけど、なかなかやらない」ということって、料理に限らず案外多いような気がします。ちょっと頑張ってみれば、意外と簡単にできて、しかも充実感も得られる。でも、なんとなく腰が重くて動けない。そんなこと、皆さんにもありませんか？

僕は、先日ふと「カツ丼食べたいな」と思ったときに、こんなことを考えながら布団の中でゴロゴロしていました（笑）。ああ、また外で食べてしまうのかな……と思いつつも、いつか「よし、作ってみようかな」と思える日が来たら、それはちょっとした進歩かもしれませんね。