
「山椒は小粒でも…でも苦手なんです」
弁護士:島田 直行
投稿日:2025.05.14
誰にでも、ひとつやふたつ苦手なものがあると思います。私の場合、それが“山椒”です。基本的に私は食べ物の好き嫌いはほとんどなく、どんな料理も美味しくいただくのですが、どうしても山椒だけは体が受け付けないのです。
最初にそれを自覚したのは、大学時代に京都で暮らし始めた頃のこと。ある定食屋さんで出された味噌汁の中に、どうやら山椒が入っていたらしく、何の気なしに飲んだ瞬間、急に気分が悪くなってしまいました。それがトラウマになってしまったのかもしれません。
ご存知の方も多いかと思いますが、京都では意外といろんな料理に山椒が使われています。うなぎにかかっているのは有名ですね。周囲の人たちが美味しそうに山椒をかけて食べている姿を見ると、「僕も大丈夫かもしれない」と思って試してみるのですが、やはり体が拒絶してしまうのです。
おかしいのは、「味が嫌い」というわけではないということです。食べてみると「美味しいな」と感じる瞬間もある。でもその直後に、どうしても体調が悪くなってしまう。だから、料理人の方には申し訳ないと思いつつも、山椒だけは使わないようにお願いしています。
こうした「苦手なもの」との付き合い方って、ふと考えてみると人生観や仕事観にも繋がっているように思います。
子どもの頃は、苦手なものは「克服すべきもの」だと思っていました。乗り越えることで得られる達成感や自己肯定感は確かに大切ですし、それが必要な場面も多いでしょう。しかし、大人になって仕事を持つようになると、何でもかんでも克服するというのは、現実的にはかなり難しいことなのだと気づかされます。
仕事そのものがすでに大変な中で、さらに「自分の苦手なこと」まで克服しようとすると、心身ともに消耗してしまいます。だからこそ、私は「苦手なことを無理に頑張るより、得意なことを伸ばす」ことが大事だと思っています。
人材育成の場でも、私はそう伝えています。短所を補う努力ももちろん必要ですが、それよりも長所を活かしてこそ、本人のやる気やパフォーマンスが発揮される。どうしても私たちは「全体を平均化」しようとしがちですが、それにはかなりの労力が必要で、しかもリターンは少ないことが多いのです。
苦手なものには、苦手な理由があります。そして、それを無理に消そうとするより、「苦手であることを受け入れたうえで、どう折り合いをつけていくか」を考える方が、よほど健全ではないかと感じています。
山椒の話から始まった小さな話題ではありますが、私にとっては、そんな価値観を思い出させてくれる出来事でもあるのです。
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