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ハラスメント

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【弁護士が解説】クレーマー対応時に警察を頼るべきか。

島田 直行 弁護士:島田 直行 投稿日:2019.12.12

クレーマー対応として弁護士に依頼するのは有効な手法のひとつだ。弁護士からの通知ひとつで解決する事案も少なくない。だが実際に目の前にクレーマーが来ているのに「これから弁護士に依頼して」というような悠長なことをいっているわけにもいかないときがある。弁護士といっても24時間いつでも駆けつけてくれるわけではない。そこで「いざ」というときに頼るべきなのが警察だ。クレーマー対応における警察への頼り方についてまとめておこう。

警察はクレーマー相手でも対応してくれる

「クレーマーに警察が対応してくれますか。民事不介入とかいいませんか」と質問されることがある。これは大きな誤解だ。クレーマーで業務に支障がでているような場合には警察としてもきちんと対応してくれるから安心してほしい。

そもそも民事不介入とは、当事者間の民事的なトラブルについて警察が介入するべきではないという原則のことだ。当事者間のお金の貸し借りのトラブルなどについては、裁判所で決着するべきであって警察が介入して処理するべきではないということを言っている。

ここで間違っていけないのは、当事者間のトラブルは民事的なものだけではないということだ。例えば「100万円を返済しろ」というのは民事的な請求だから警察としてなにか加入することはできない。当事者の見解が異なるのであれば、裁判ではっきりさせていくほかない。でも取り立ての方法が間違っていたら恐喝罪(刑法249条)になる。民事的な要求であってもやり方しだいでは刑事上の責任になってしまうということだ。

これはクレーマー対応においてもしかり。クレームがあって会社に電話をすることは、民事的な問題であって警察としても対応することができない。これが繰り返し電話をし続けることやいきなり会社にて立ち去らないとなると明らかに会社の業務に支障がでてしまう。これは刑事上の責任の問題が発生することになりかねない。そのため警察も「クレーマーの行動によって業務に支障がでている」となれば民事不介入といわずに対応してくれる。

クレーマー対応において警察の強みは即効性にある

弁護士に依頼するとなれば、

①弁護士を探す

②弁護士に連絡をする

③打ち合わせの日取りを調整する

④相談をする

⑤費用を決める

⑥委任をする

というようになんとも時間を要する。これは相談者としてあまりにもつらい。「弁護士なんだからすぐになとかしてよ」というのが依頼者の本音だろう。事務所では、相談があれば可能な限りすぐに動きだすようにしている。「島田さんのところはすぐに動いてくれるから助かる」と言ってくださるのはうれしいものだ。

さりとてどれほど急いだとしてもできることには限界がある。「今、玄関にクレーマーが来て立ち去らないのです」と電話があってもできるのは電話越しに警告するくらいだ。これではクレーマーにとっての抑止力にはならない。そこで頼るべきなのかやはり警察だ。

警察の強みはなんといっても「即効性」につきる。110番をすれば混沌している現場に駆けつけてとりあえず現場の状況を沈静化してくれる。これは他にはない大きな力だ。クレーマーにしても警察がやってくると「なんだか大変なことになった」と身構えて一気に冷静になる。実際に警察に頼ったことがある人であればわかるだろうが「警察が現場に来る」というインパクはかなりのものがある。

ある病院では数年にわたり執拗なクレーマーに苦しんでいた。さまざまな弁護士に依頼するものの抜本的な解決にならずに困っていた。そこで「今後やってきて声を荒げたら110番してください」とアドバイスをして実行してもらった。警察が来るということにさすがのクレーマーも驚いたようだ。途端にやってこなくなった。事務長からは、「本当に助かりました。あんなに効果的だとは思いませんでした」と感謝された。(実際に動いてくれたのは警察の方ではあるのだが)

クレーマーの対応によっては警察を呼ぶことに躊躇するべきではない

このように警察はクレーマー対策として有効な手法ではあるが、一般の方にとって「警察を呼ぶ」ということが精神的にもかなりの負担になるものだ。「でも先生、警察呼んだらかえって大きくなりませんか。病院なのであまり評判に影響がでるのは」と懸念される方も少なくない。そういう弱気な部分がかえってクレーマーをのさばらせていることがわかっていない。

警察を呼んだからといって物事が大きくなることはない。大きくなるのであれば、それはもともと大きな問題だったというだけだ。そこを勘違いしては問題の解決にはならない。

「クレーマーによって業務に支障がでている。このままではまずい」と考えたら警察に相談するべきだ。具体的にどのような犯罪が成立かなど思案する必要はない。「ある人が玄関口で声を荒げて退去してくれません。業務に支障がでているので助けてください」というので十分である。心配であれば事前に最寄りの警察に「クレーマーのことで悩んでいます。いざというときには110番させてもらいます」と相談しておくといざというときにでもたいおうしやすい。

クレーマーには犯罪が成立する可能性もある

クレーマーの行為には、次のような犯罪が成立するときがある。

現場から立ち去ってくれない場合には、不退去罪(刑法130条後段)が成立する。

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

大声などで業務を妨害すれば、威力業務妨害罪(刑法233 条)が成立する。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

その他にも暴行罪(刑法208条)なども成立する場合がある。

いずれにしても警察はあなたの見方である。「怖い」と感じたら警察の力をお借りして問題を解決するのも立派な解決方法だ。警察を遠くの存在に捉えるのではなく身近な存在と考えて自社を守っていただきたい。

警察との具体的なやりとりについては「社長、クレーマーから「誠意を見せろ」と電話がきています」にも詳しく書いているので参考にしていただきたい。

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