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不正行為

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不正行為を予防する体制構築のポイント

松﨑 舞子 弁護士:松﨑 舞子 投稿日:2023.10.20

不正行為が行われると、不正行為そのものによる経済的損害にとどまらず、会社の信用の毀損も発生します。失われた会社の信用の回復は困難であるため、不正行為の予防が損失回避の有効な手段といえます。

本ブログでは、不正行為を予防する体制を構築するさいに考慮いただきたい視点をお伝えします。貴社の体制の見直しの際にご活用ください。

仕組みづくりと従業員心理へのアプローチの二方向から考える

不正行為を予防するには、不正行為が発生するメカニズムに着目すると実効性のある対策が可能となります。従業員が不正行為に至る条件は、不正行為が可能な環境と不正行為を行わざるを得ない心理状態が揃ったときです。

不正行為が可能な環境としては、特定の従業員に権限が集中している、モニタリングができていない、ルールが曖昧といった点が挙げられます。

従業員が不正に走る心理状態としては、過大なノルマによるプレッシャー、自身の待遇に対する不満、「他の従業員もしているから」という同調意識等があります。

具体的にどのような予防策を取るかは会社の規模や従業員の状況により異なりますが、不正行為が可能な環境をなくす仕組みの構築、従業員に不正行為の心理的誘因を与えない企業風土の醸成の視点はどのような会社でも共通のベースとなります。

以降の項目では、中小企業での導入のしやすさを念頭に、各視点からの対策をご紹介します。

不正行為が可能な環境をなくす仕組み①モニタリング体制の構築

業務の権限が特定の従業員に集中していると、帳簿やデータの改ざん、金銭、物品や情報の持ち出しが容易となります。

更に、「自分しか見ないから不正をしてもばれないだろう」という不正行為の心理的誘因も生じやすくなります。

対策としては、業務を分担して権限の集中を避ける、管理者や税理士事務所によるダブルチェックを行う、ジョブローテーションにより別の担当者の視点を入れるといったものが考えられます。

モニタリングを実効性のあるものにする仕組みとしては、内部通報制度の整備も挙げられます。

内部通報窓口を設けるメリットは、不正行為の芽を早期の段階で把握して、傷の浅いうちに改善につなげられる点にあります。不正行為の規模が大きくなった段階でいきなり行政機関や報道機関に告発があって発覚した場合には、会社の信用毀損の程度も大きくなります。

令和4年6月1日の公益通報者保護法の改正法施行により、従業員数300人以下の事業者においても、内部通報制度の整備が努力義務となりました。内部調査への従事者に対する通報者を特定させる情報の守秘の義務付け、通報者について通報に伴う損害賠償責任の免除が規定されるなど、通報者の保護も図られています。中小企業においても、内部通報制度の充実が求められている状況です。

会社の規模や人員の関係で内部に通報窓口を設置することが難しい場合は、外部に窓口業務を委託する方法も考えられます。

会社の状況にあったモニタリング体制を構築し、不正行為に早期に対処することを目指しましょう。

不正行為が可能な環境をなくす仕組み②裁量の余地の少ないルールの策定

業務処理のルールが担当者において解釈や裁量の余地が大きい内容であれば、不正行為を行うにあたり都合の良い判断をされかねません。

もちろん、状況に即した対応の観点からすると、全てのルールを明確かつ詳細とすれば不都合な場合も生じます。そこで、定型的でない業務については、担当者の裁量の余地を少なくするルールとしつつ、判断に迷う場合はいつ誰に相談するのかというルールを併せて策定するといった対応が考えられます。報・連・相というビジネスの基礎ではありますが、不正行為が行われる状況では、基礎的な部分すら機能していない例が見られます。

また、ルールについては、なぜこのようなルールとなったか、策定の意図も従業員に理解してもらい、形骸化を防ぐようにしましょう。

ルールの遵守を徹底するためには、ルール違反に対する懲戒制度の利用が考えられます。ただし、運用には注意が必要です。懲戒が予定されていることにより従業員が報告をためらい、不正行為が大きくなってから発覚するというリスクが想定されます。懲戒制度を利用する場合は、ルール違反の結果のみを追及するのではなく、弁明の機会を与え、ルール違反の経緯も考慮して処分を行うといった柔軟な運用を検討しましょう。

不正行為の心理的誘因を与えない企業風土①発言をしやすい職場環境

昨今の不正行為の事案では、業務について問題があっても指摘がしにくい職場環境だったという例が散見されます。業務で悩んでいる場合でも、周囲も多忙であり相談が難しい状況のため、問題を一人で抱え込んで不正をせざるを得ない心理状態となった例も見られます。

このような状況を脱却し、提案や相談がしやすい職場環境を醸成するためには、社内コミュニケーションの活性化が必要となります。特に、上司や管理職の立場にある従業員が傾聴の姿勢を取ることで活性化が期待できます。傾聴については、「経営者、管理職としてのきき方、伝え方を考える」(2023年4月21日掲載)の記事で詳しく説明をしていますので、参考になさってください。

また、発言がしにくい職場環境の背景には、売上至上主義の経営方針や慢性的な過重労働が影響している場合もあります。経営方針を見直してその内容を経営者が発信する、労働環境の抜本的な改善という視点も併せて検討してみてはいかがでしょうか。

不正行為の心理的誘因を与えない企業風土②遵守すべき価値観の共有

不正行為を行う従業員の心理としては、企業間の競争にさらされながら、良心との葛藤の中で不正行為に至るといった流れが考えられます。従業員において判断に迷った場合、最終的に何を重視するかは、その従業員が自社の価値観と認識しているところに左右されます。手段は二の次で売上を上げることを重視するのが自社の価値観であるとの認識が強い場合には、不正行為を行う方向に傾きやすいでしょう。

経営者の皆様におかれては、利益を上げつつも同時に守りたい価値観をそれぞれお持ちのはずです。法令遵守をはじめ、倫理観や顧客満足、社会情勢への配慮等に関する価値観を具体的に言葉にして従業員と共有していきましょう。

社員教育や日々の業務で折に触れて価値観を共有する中で行動規範として定着すれば、個々の従業員が判断を行う場面で不正行為に流れるリスクを軽減できます。

負の同調意識による不正行為の連鎖を防止するには、仕組みの構築と個々の従業員の意識の両輪が必要です。

最後に、不正行為を予防する体制の構築、特に不正行為の心理的誘因を与えない企業風土の醸成の観点からは、経営者からのメッセージの発信も重要です。社内に対して経営者がトップとして働きかけることで、会社を挙げて取り組むべきとの認識が広がります。また、社外に対しても発信することで、予防体制を維持しようという動機付けとなります。

体制整備にあたり、経営者と従業員との対話の機会の増加自体が良い効果を生じる例もあるようです。経営者と従業員とのコミュニケーションの活性化も併せて進めてみてはいかがでしょうか。

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